大会従事者へのクラウドファンディングと思うこと

コロナ禍を受けて、影響を被っているのは、選手、ファンだけではありません。
キャディをはじめとする関係者も、正直、仕事あがったりの状態です。
そんな、大会関係者を支援する取り組みが始まりました。

■ プロジェクトに関するスケジュール
7月21日~8月31日/クラウドファンディング「ゴルフトーナメント業務従事者支援基金」を通じ支援金募集
9月上旬/給付希望者からの申請受付を開始
10月~11月中旬/給付希望者の審査の実施
2020年内/給付を実施

※クラウドファンディングトップ画像から。サイトはこちらです。昨日から始まっています。

ゴルフトーナメント業務従事者支援基金 - クラウドファンディング READYFOR
石川 遼、時松 隆光、青木 瀬令奈 、有村 智恵、宮里 優作によるゴルフトーナメント業務従事者支援基金(Tournament players foundation )です。ゴルフトーナメントに従... - クラウドファンディング READYFOR
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選手発の支援企画

この発案は、青木瀬令奈、有村智恵、石川遼の3選手。
いずれも、選手会長(女子はプレイヤーズ委員長)の経験者です。
どういった内容かと言えば、クラウドファンディングですね。

内容は、

男女ツアーのメンバーで構成される任意団体「Tournament Players Foundation」を設立し、新型コロナウイルス感染拡大の影響下にあるツアー大会関係者に対する給付金支援チャリティ「ゴルフトーナメント業務従事者支援基金」を立ち上げたと発表した。活動に賛同した時松隆光、宮里優作とともに、クラウドファンディングを通じて寄付金を募る。

対象は、「ゴルフトーナメント業務従事者」です。
ですから、プロキャディはもちろん、会場設営やギャラリーサービスに携わる関係者も対象です。

日米で差を感じること

実は、このキャディを支援する動き、米ツアーでは3月からと早かったのです。

中断のPGAツアーが選手やキャディに金銭支援
新型コロナウイルス感染拡大により延期や中止を余儀なくされている米PGAツアーが、選手とキャディを金銭的に援助する。ゴルフダイジェストなど複数の米メディアが28日、報じた。 選手に送られた電子メールによると、3月8日付のフェデックスカップランキングから予想されるボーナスの最大50%、最大10万ドル(約1070万円)を中断...

選手に送られた電子メールによると、3月8日付のフェデックスカップランキングから予想されるボーナスの最大50%、最大10万ドル(約1070万円)を中断期間中に受け取ることができる。受け取った場合はシーズン終了後に差し引かれる。

なぜ日米で違うのか?

今回、3選手がクラウドファンディングを立ち上げたのは、理由と背景を推測します。
それは、ツアーに資金力がないこと。つまり支援する金がないということです。
では、なぜPGAツアーができるのかと言えば、逆ですね。
金があるからです。

では、その資金力の元となっているのは、何かと言えば、放映権料です。
この収入が、サラリーマンで言うところの、基本給みたいなものです。
これに、入場券やグッズの販売利益が、ボーナス的に付随するということです。

その資金量は莫大で、例えば、タイガー・ウッズとかは、年金で数十億円貰えます。
タイガーは別格だろーって思うかもしれませんが、さにあらず。
ツアーで複数年シードを獲った丸山茂樹プロで、PGAツアーから数億円の年金です。

日本のゴルフ界では、考えられない。
それもこれも、放映権料という、基本給がないからですね。
米ツアーからみれば、日本のツアーは、極論、単発のアルバイトみたいなものです。

期待を込めて

今回の取り組みには2つの期待を持っています。
1つはクラウドファンディングが成功してほしいこと。
今回、選手が発起人となりましたが、ツアーは社団法人なので、これは立場上難しい。

ですから、この自主的な取り組みは素晴らしいと思います。
私も、微々たるものですが、協力するつもりです。

2つめの期待は、ツアーの財政基盤強化への期待です。
いみじくも、アース・モンダミンカップを主催した、アース製薬、大塚会長のインタビューに、その答えを見出すことができます。

感銘と共感 アース製薬 大塚会長のインタビュー
アース・モンダミンカップを成功に導いた、アース製薬、大塚会長のインタビュー記事です。今回の決断はわれわれからすると英断としか言いようがないのですが、放映権をはじめとする、「そもそも論」を主催者として発言されたことには、心から敬意を表します。

この記事でもインタビュー部分を転載したのですが、一部分を再度転載します。

――米国や欧州ツアーでは逆。テレビ局が協会から放映権を買って放送する

「それがプロスポーツのビジネスのあり方だ。放映権、入場料、グッズ販売などで興行として成り立つということ。そうすれば本当にゴルフを愛する人が主催者として参画できるようにもなる。日本の今の形だと、選手には何の利益にもなっていない。協会に放映権料が入り、それが選手に還元されるべきだ。現状は、非常にいびつだ」

全ての内容は、リンクした記事を読んでいただければと思います。
テレビ局というのは、報道機関でもあるので、一般民間企業より社会的な責任もあります。
もちろん、民間企業なので、儲けるなとは言いません。
しかし、「スポーツ界の発展を祈って」云々を言いながら、一方で、女子プロゴルフツアーでは、放映権を渡さないままです。
建前と本音の矛盾を感じざるを得ません。

参考までに読みたい記事

ゴルフトーナメントをつくる「1500分の1」 それぞれの仕事と現場の声GDOEYE
新型コロナウイルスの影響で、日本のプロゴルフは男女レギュラーツアーだけで計36大会がスケジュールから姿を消した(7月22日現在)。職場を失っているのはプロゴルファーだけではない。さまざまな業務を通じトーナメントを陰で支えてきた多くの人たちも、先の見えない状況に置かれている。 1試合当たり、選手を含め最大1500人規模が...

Youtubeの配信が始まった!

この取り組みの1つでしょう。
早速ですが、Youtubeの配信が始まりました。
エキシビジョンマッチですね。

参加選手は、まず発起人の青木瀬令奈、有村智恵、石川遼の3選手に加えて、このマッチには、星野陸也選手が参加しています。
第1弾のようなので、追加配信があると思います。
場所は、白水ゴルフ倶楽部
青木瀬令奈さんが、メインの練習コースとしてプレーしているコースです。

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クラウドファンディングの結果

8月31日をもって、クラウドファンディングが終了しました。

結果から言うと、支援総額は、23,355,000円になりました。
そして、8月31日には、発起人の1人、青木瀬令奈さんがカウントダウンインスタライブを行ないました。
その中で青木さんは、こう言ってました。
「金額もだけど、男女プロが1つの目的に向かって協同したことに意味がある」
その通りだと思います。

こういった取り組みは、協会などの組織が表立ってやるのは、無理なことです。
ですから、大変意義深いことだと思っています。
ゴルフトーナメント業務従事者支援基金のサイトはこちら
YouTubeのチャンネルはこちらです。

目標金額を達成!

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コメント

  1. まつしま。 より:

    座和さんこんにちは

    クラウドファンディング成功してほしいですね!