女子プロゴルファー 吉田優利 その歩み

プロゴルフプラスの、「女子ゴルフプレイヤー」カテゴリーでは、一人のプレイヤーに焦点を当て、その成長の歩みを追いかけていきます。
初めて取り上げたプレイヤー、安田祐香さんに続き、2人目として吉田優利さんを取り上げます。

2020年の女子ゴルフツアー注目の選手であり、令和期待のヒロイン候補であること、そして、「女子プロゴルフPlus+」で書いてきた単発の記事をまとめて、ライブラリ化するためです。
いくつかの項目に分けて書いていきますので、興味のある分野の目次から進んでいくこともできます。

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吉田優利 ゴルフを始める

吉田優利さんは、2000年4月17日、千葉県市川市生まれ。
いくつかのスポーツをやっていたのですが、ゴルフを始めたのは、10歳のとき、お父さんからのすすめでした。
その他スポーツ歴はテニスやフットベース、水泳もやる、活発な女の子。特に水泳では、個人メドレーも泳げる小学生でした。

吉田優利 ジュニア時代の歩み

ここでは、吉田優利さんの、ジュニア時代を、いくつかに分けて書いていきます。

小学生から中学生時代

ゴルフを始めたのが10歳なので、昨今の流れでは、決して早くはない年齢です。
それでも、2012年。小学6年生のときに、LPGA全日本小学生ゴルフトーナメントで、個人3位、団体で優勝という成績を残します。

また、同年に開催された、関東小学生ゴルフ大会で優勝。関東No.1になります。
この成績が評価され、世界ジュニアゴルフ選手権に出場し27位となっています。

中学生時代には、1年生のとき、2013年に全国中学校ゴルフ選手権、個人14位タイ団体で優勝を飾ります。
また、同年には、JLPGAのステップアップツアー、ルートインカップ上田丸子グランヴィリオレディースに出場し19位タイの成績をあげています。
翌2014年には、全国中学校ゴルフ選手権で個人2位、団体で優勝をします。

中学3年生となった2015年には、日韓対抗中学・高校ゴルフ選手権で団体優勝。
また、中学1年で出場した、JLPGAのステップアップツアー、ルートインカップ上田丸子グランヴィリオレディースに再び参戦し、11位タイでローアマを獲得しました。

着実に力をつけた高校1年生から2年生時代

吉田優利さんは、麗澤高校に進学。そして高校時代にも着実に力をつけていきます。
高校1年生である、2016年には、全日本女子パブリックアマチュアゴルフ選手権で6位、日本女子アマチュアゴルフ選手権競技で7位タイに入ります。
また、同年、日本女子オープンゴルフ選手権競技に参戦し、53位タイの成績でした。

2017年、高校2年生の主な実績としては、JLPGAレギュラーツアー、スタジオアリス女子オープンで17位タイのローアマ、ヨネックスレディスでは9位タイと、こちらもローアマを獲得です。

躍進を遂げた、高校生3年生時代

吉田優利という選手が、大きくクローズアップされたのが、2018年。彼女が高校3年生のときでした。
ハイライトは、日本女子アマチュアゴルフ選手権競技、そして、日本ジュニアゴルフ選手権競技 女子15歳~17歳の部で優勝。
アマチュアならば、だれでも欲しいタイトル2冠に輝きました。
同年でこの2冠を獲ったのは、あの宮里藍さん以来の快挙です。

ナショナルチームの一員として海外へ

中学生時代からその実力を発揮していた吉田優利さんは、2016年後期から2019年までの3年半、JGAナショナルチームに選出されています。

そのため、代表選手として、日の丸を背負って戦ってきました。主な参戦歴としては、2017年APGCジュニア選手権団体で3位タイ、2018年、 エスピリトサントトロフィー世界女子アマチュアゴルフチーム選手権で個人30位タイ、団体で2位、ネイバーズトロフィーチーム選手権では個人4位、団体2位といった成績を残しています。

アマチュア時代の戦績は、こちらです。

プロを目指して

2019年3月、吉田優利さんは、高校を卒業し、同年4月、日本ウェルネススポーツ大学に入学します。そして、秋から実施されるプロテストに挑む年となりました。

何と言ってもハイライトは、前年2018年の日本女子アマチャンピオンとして臨んだ、ワールドレディスサロンパスカップでしょう。

アマチュアながら、メジャートーナメントで、3日目、最終日ともに最終組。優勝争いを繰り広げます。最終的には、2日間同組で戦った渋野日向子選手が、ツアー初優勝をメジャーで飾ります。その後の渋野日向子さんの活躍はご承知の通りで、資生堂アネッサで優勝、夏に行われた全英女子オープンで、日本人42年ぶり史上2人目のメジャー優勝を遂げます。

吉田優利さんは、サロンパスカップで、渋野日向子さんのプレーを同伴競技者として見ることになり、大きな刺激となったと思います。吉田さんの最終順位は4位タイでした。

吉田優利 2019年の明と暗

また、2019年は、それ以外にも吉田優利さんに大きな節目となる出来事がありました。
まずは、残念だったのが、第1回オーガスタナショナル女子アマ。
当初、JGAからの連絡で、オーガスタGCから招待されると連絡されていましたが、手違いがあり、出場なりませんでした。
この試合は、結果として同世代の安田祐香さんが3位に入り、一躍、世間に名をはせることになります。
出場ならなかった吉田さんを思ってか、JGA批判の報道も目立ちました。
そんな中、渦中の吉田優利さんは、自らツイッターで心境を明かします。

私は、この言葉、そして考え方対して、非常に共鳴を受けました。
吉田優利というプレイヤーはゴルフだけでなく、人として信頼に足る選手であることがわかったからです。そして、こういった考え方、表現方法は彼女がいかにしっかりしているのかがのちにもわかります。

そして、このことを暗とするならば、明るい出来事、将来を見据えた挑戦の機会も訪れました。それが、全米女子オープン出場です。
吉田さんは日本予選会を突破、本戦まで駒を進めます。

ただ、残念なのは、5月に発症した指の故障を抱えており、力を発揮できなかったことです。

この怪我の回復には夏まで時間がかかり、プロテスト受験に際して不安になることも多々あったと思います。
幸いだったのは、吉田さんは前年日本女子アマを制しているので、プロテストは、最終から受験可能だったこと。
これが一次からの受験であったならば、体調面で難しい戦いになったかもしれません。

吉田優利 プロテスト合格

2019年からJLPGAの規定が変わったプロテスト。時期は夏から秋へと後ろ倒しになりました。また、受験年齢が1つ引き下げられて、現役の高校3年生の受験が可能になり、加えて単年登録も原則廃止となったため、レギュラーツアーを戦っていた単年登録選手もプロテスト合格が必須となった、史上最難関のプロテストでした。

その中、吉田さんは、2019年11月、JLPGA最終プロテストから参戦し、4日間、71、71、72、72、トータルで286ストローク(2アンダー)の12位タイとなり、見事合格を果たしました。難しいコンディションの中ですが、彼女自身が持ち前とする粘りを十分に発揮した、クレバーなプレーなぶりが印象的でした。

晴れて、プロゴルファー、JLPGA92期生、吉田優利の誕生です。

吉田優利 ファイナルQT上位通過

プロテストから間もなく、来季への出場権をかけたQTが引き続き行われました。プロテスト合格から引き続き、吉田さんは、持ち前の粘りと安定のプレーでスコアメイクをし、20位通過。2020レギュラーツアー前半戦の出場権を得ました。

吉田優利 ルーキーイヤーから契約ラッシュ

期待のルーキー、吉田優利さんには、多数の契約オファーがありました。
マネジメント契約はZONE(ゾーン)と結びました。ここは、古閑美保さんや、最近では、渋野日向子さんのマネジメントをしています。

用品契約は、ブリヂストン。
ウェアは、TOMMY HILFIGER GOLFと契約です。

そして、大きな契約。それは、エプソンと所属契約を結んだことです。

アマチュア時代の実績があるにせよ、エプソン契約選手と言えば、横峯さくらさんですが、それに次いでということになるので、思い切った契約です。

また、メルセデス、UUUMともスポンサー契約が締結されました。

吉田優利 クラブセッティング

さて、2020シーズンを戦う、吉田優利さんのクラブセッティングです。
これは、開幕前の段階なので、参考として見てください。

吉田さんのクラブセッティングは、ウッドが、1番、3番、5番で、UTが3番と4番。
アイアンが5番からピッチングで、ウェッジが52度と58度です。
ほぼ、若手女子プロの標準的なセッティングです。

吉田優利の女子力

若い女性はファッションに興味があるものですが、吉田さんは特に敏感です。
この世代の選手たちからも、「女子力が高い」と評判です。

趣味はピアス集め。特に真珠のピアスを好んで身に着け、試合では毎日変えます。
私服のファッションは、スカートやワンピース系が多く、女の子らしい服装が好きです。
また、細かい作業も好きで得意。小物のデコレーションは、3時間くらいかけて集中できます。またお菓子作りも得意で、可愛いデコレーションのクッキーやケーキも作ります。

吉田優利の発信力

SNSの使い方に習熟しており、高校生時代からツイッターでの意思表明や告知内容には優れていました。

プロ入り後も、ツイッター、インスタグラムに加えて、TikTokでの投稿は、女子プロゴルファーの枠を超えて、大きな反響を呼んでいます。そういった部分も考慮され、2022年にはJLPGAの広報活動を担う、ブライトナーの6選手にも選出されています。


人気は個人のブランディングにも繋がっていると同時に、各種広報やアンバサダー、イベントなどにも活かされています。
多忙なスケジュールの合間で、積極的な活動です。

吉田優利 プロ入り後の主な成績

期待の大物ルーキーとしてプロデビューした吉田優利さんですが、2020年は、そう簡単には勝てませんでした。
師事する、辻村明志コーチから見ても、「もう1ステージ」という感じだったと思います。
吉田優利さんも、2021年になってからギアを上げます。
優勝争いに加わる試合も増え、ついにそのときがやってきます。

2020-21シーズンの主な戦績

統合となり、52試合が行われた2020-21シーズン。
ルーキー、吉田優利さんの主な成績は以下の通りです。

出場:52試合中50試合出場し、トップ10が7回 (32位) ※優勝2回
メルセデスランキング:1,331.35pt (22位)
年間獲得賞金:¥75,287,983 (22位)
平均ストローク:71.4563 (16位)

特に以下の項目では、上位成績でした。

平均パット数(パーオンホール) 1.7811 (7位)
平均パット数(1ラウンド当たり) 28.9759 (7位)
トータルドライビング 59 (8位)

楽天スーパーレディースでプロ入り初優勝

東京オリンピックの週に、新規大会として開催された、楽天スーパーレディース。
伸ばし合いとなった大会ですが、最終日の後半、圧巻の5連続バーディーで初優勝を飾りました。

【座和版】吉田優利ツアー初優勝 楽天スーパーレディース2021
東京オリンピック開催中に初開催となった楽天スーパーレディース。初代チャンピオンは、ミレニアム世代を代表する選手で初優勝が期待されていた吉田優利さん。最終日は5連続バーディーを奪取するなど、圧巻のプレーでツアー初優勝を飾りました。

吉田優利 シーズン2勝目はプレーオフで

7月にプロ入り初優勝を飾った吉田優利さん。
その調子とモチベーションは落ちず、2勝目のときを迎えます。
会場が三重県のコースに変更となった、ゴルフ5レディス。

この試合も伸ばし合いとなり、初日から、69、68、65。
-14で岡山絵理さんと並びましたが、プレーオフ2ホール目で勝ち切りました。
今後の活躍が、一層期待できるプロです。

「アスリートにとって一番の快感」 吉田優利が逆転V
◇国内女子◇ゴルフ5レディス プロゴルフトーナメント 最終日(5日)◇ゴルフ5カントリー 四日市コース(三重県)◇6563yd(パー72) プロ入り後、初めてのプレーオフでも笑顔を貫いた。4打差7位から出た吉田優利が9バーディ、2ボギーの「65」でプレーし、通算14アンダーでホールアウト。岡山絵里をプレーオフで下し、7...

吉田優利 2022シーズンの主な戦績

更なる活躍と飛躍が期待された、2022シーズン。
その期待に応えるように、常に上位で安定した成績を残します。
優勝こそなかったものの、多くのスタッツでルーキーイヤーを上回りました。

出場:38試合中37試合出場し、トップ10が19回 (2位)
メルセデスランキング:1,976.64pt (6位)
年間獲得賞金:¥114,444,959 (6位)
平均ストローク:70.3702 (3位)

この成績を裏付ける、上位のスタッツは数多くなりました。

平均パット数(パーオンホール) 1.7606 (3位)
平均パット数(1ラウンド当たり) 28.8871 (10位)
パーセーブ率 89.0681 (4位)
平均バーディー数 3.7581 (3位)
トータルドライビング 57 (6位)
ボールストライキング 20 (7位)
リカバリー率 70.6790 (1位)
サンドセーブ率 59.6330 (1位)
パーブレーク率 20.9229 (3位)
バウンスバック率 25.6522 (1位)
バーディー数 466 (1位)
60台のラウンド数 49 (2位)

吉田優利 メジャー初優勝

スタッツは向上し、実力はついたものの、2位が6回と惜敗が続いた2022年。
その努力は、2023年、自身の3勝目をメジャー初優勝で飾ると言う素晴らしいものでした。

この優勝により、3年シードを獲得。
自身が目標とする海外ツアーへの挑戦に後押しとなります。

コメント

  1. ぐっさん より:

    吉田さんも素敵な方ですね。
    ファンになりました。
    笑顔が素敵で良いですよね。
    プレーも粘り強いのはマッチ見てても思いました。
    活躍を期待したいですね。

    • 座和座和 より:

      吉田さんは、プレーもですけど、人間性も好感持てますよね。
      まぁ、しっかりしている。
      それでも、技術的には、まだまだ伸びしろがあると思います。
      私も期待感を持って見ていきたいと思います。