馬場咲希の全米女子アマ 優勝までの7日間

日本人選手として、服部道子さん以来、37年ぶりに全米女子アマを制した馬場咲希さん。全米女子アマ優勝までは、実に7日間に渡って、9ラウンドを戦い抜かなければなりません。その記録と足跡をプレーバックします。馬場咲希さんのクラブセッティングも紹介します。

スポンサードリンク

全米女子アマ2022の大会日程と勝ち上がり

馬場咲希さんの勝ち上がりを参考に日程を振り返ります。

8月8日(月)予選ストロークプレー第1ラウンド
馬場咲希:73ストローク
8月9日(火)予選ストロークプレー第2ラウンド
馬場咲希:74ストローク

この予選ラウンド2日間のストロークプレーで、132名から64名に絞り込まれます。
そして、この上位64名がマッチプレーへと進みます。
馬場咲希さんは、34位で予選ラウンドを通過しました。

8月10日(水)マッチプレー1回戦
馬場咲希 1up ジェニファー・クリアリー

8月11日(木)マッチプレー2回戦、3回戦
馬場咲希 3&1 アリス・ジイ・ジャオ
馬場咲希 3&1 アネカ・セウマヌタファ


8月12日(金)マッチプレー準々決勝
馬場咲希 4&3 ローレン・リハイ

8月13日(土)マッチプレー準決勝
馬場咲希 7&6 ベイリー・シューメーカー

8月14日(日)マッチプレー決勝(36H)
馬場咲希 11&9 モネ・チャン


特に準々決勝以降、圧倒的な力で勝ち切った結果と言えます。
マッチプレーなので、Conceed、いわゆるOKパットもあるので一概には言えませんが、連日、アンダーパーのラウンドを続けたことになります。

全米女子アマ2022 馬場咲希優勝の要因

もちろん、強かったのひと言に尽きますが、要因を挙げるとするならば、大きく2つに分けられると思います。

絶好調だった、ショットとパッティング

本人のインタビューと重なる部分もありますが、まずはパッティングが好調だったこと。
今回のグリーンはポアナ芝とベント芝のミックス。
強いタッチで打ち抜いていかないとなかなか入らない。
現地コースのローカルキャディー、ボウ・ブルシェートさんとの相性も抜群でした。
加えて、ドライバーは曲がらず、常に270ヤード付近のフェアウェイをキープ。
グリーンを狙うショットも、左右のブレや縦距離も抜群の精度を見せました。
あまりにもアグレッシブすぎるので、キャディーのブルシェートさんがビビったのは本音だと思います。

馬場咲希さんは、ショットの好調にはあまり触れませんでした。
それだけ好調であることを忘れるほど、素晴らしい出来だったと思います。
しかし、彼女がスコアを落とす試合だと、やはりドライバーが曲がることが原因です。
その心配がほぼ無いまま、7日間を走り抜けた結果が優勝の一因だと思います。
日本人選手が海外コースで苦戦するアプローチも、見事なものばかりでした。

敢然と攻略した難コース

今大会の開催コースは、2007年開場の、チェンバーズベイゴルフコース(ワシントン州)です。
2015年には全米オープンが開催され、ジョーダン・スピースが勝っています。
今回は、全長:6,541ヤード、par73のセッティングでした。

一応、リンクスタイプに分類されるのでしょうけど、異質なコースです。
元々が海岸に面した採石場で、そこに芝を張ったという、大胆なレイアウト。

見るからにティーショットから難易度は高いですし、高低差もある。
また、グリーンの傾斜も強く、想像を絶するほど曲がります。
もちろん、全米オープン開催時よりは、距離は短く、グリーンもカチコチではありません。
それでも、難易度が高く、女子のアマチュアにとっては最高難度のレベルでした。

つまり、「バーディーを獲って攻略してやろう」というゲームプランは立てにくい。
当然、選手たちはコースに逆らわないように、つまり、パーを取ることを基本としてプレーします。
そんな中、馬場さんはピンしか狙わずにバーディーを獲りに行った。
リスクももちろんあるのですが、バーディーを獲れば、1upです。
圧倒的な飛距離と精度が成せる戦法とも言えますが、これが決まると相手は成す術もありません。
準々決勝以降は、圧倒的な大差に加速がついての優勝でした。

この難コースをねじ伏せていった馬場さんのプレーが秀逸でした。

14ホールで7upとしたこの場面。
まさに、Calm, cool and collected。
穏やかかつ冷静で、しかも正確と表現されていて、その通りだと思います。

馬場咲希の優勝インタビューと一問一答

優勝直後のインタビュー、「勝ち」にこだわっていたのが分かります。

また、記者会見での一問一答がこちら。

馬場咲希「とにかく勝ちたいと思っていた」/全米女子アマ制覇一問一答
◇女子アマチュア◇全米女子アマ 最終日(14日)◇チェンバーズベイGC(ワシントン州)◇6541yd(パー73) 17歳の馬場咲希(日本ウェルネス高)が、服部道子以来37年ぶりの日本勢2人目の優勝を遂げた。女子アマチュアゴルファー世界一の称号を手にし、優勝インタビューでは「信じられないです」と涙を流して喜びを爆発させた...

―落ち着いて、自信があるように見えたが?
今回は、ちゃんと自分のゴルフができたと思います。

―このコースは自分に合っている?
合っていたわけではないけど、初めてこういうコースを回って、でも自分でもよく合わせられたなと思います。

―ここのタイトなライから、なんであんなチップができた?
いつも練習しているゴルフ場でいろいろなライで練習しているので、それがやっとできました。

―あと1年、学校があるが、学校ではどんな練習をしている?
チームではなく、個人でやっています。

馬場咲希の出場試合予定と未来予想図

この全米女子アマ優勝という快挙は、本人も自覚しきれていないかもしれません。
何しろ、122回の歴史を誇る伝統ある大会です。
当然、この優勝によって、数々の試合へ出場するチャンスを得ました。

メジャー4大会にオーガスタ…馬場咲希が獲得したのは?
◇女子アマチュア◇全米女子アマ 最終日(14日)◇チェンバーズベイGC(ワシントン州)◇6541yd(パー73) 17歳の馬場咲希(日本ウェルネス高)が、1985年の服部道子以来となる日本勢2人目の「全米女子アマチュア」優勝を果たした。決勝でモネ・チュン(カナダ)を下した11&9(9ホール残して11アップ)という結果は...

主な出場権を得た大会です。

<出場権を獲得した大会>
・2023年-2032年「全米女子アマチュア」
・2023年「全米女子オープン」
・2023年「シェブロン選手権」、「AIG女子オープン」、「アムンディ エビアン選手権」(アマチュアであることが条件)
・2023年「オーガスタナショナル女子アマチュア」
・2023年「全米女子ジュニア選手権」

当然ですが、今年の日本女子オープンにも特別承認が出て、出場となると見込まれます。
また、本人は今のところ、来年、日本のプロテストを受験する意向です。
※受験資格は、馬場さんの年齢により2023年のプロテストが最速になります。

一方で、これだけ多くの大会に出場権があるので、試合を選ぶ必要もあります。
アマチュアで出場するのか、プロになる準備を優先していくのか。
また、国内の試合に出るのか、海外の試合に出場するのか。
国内外、アマチュアやプロの試合から、いろいろな選択が増えてしまったとも言えます。
もちろん、国内のプロツアーに出場して、優勝を狙うこともあり得る。
また、JGAナショナルチームのメンバーとして、アマチュアの国際大会への出場もあり得ます。

彼女のプレースタイルからして、個人的にはJLPGAのツアーより、海外ツアーに適していると感じます。
その場合、アメリカのQスクールを受験していくようなプランも考えられます。

さて、直近の予定で言えば、8月1日付で、JGAナショナルチームに追加承認されました。


これにより、日本代表として8月24日からフランスで開催されるエスピリトサントトロフィー世界女子アマチュアゴルフチーム選手権の出場が決まっています。

馬場咲希クラブセッティング

全米女子アマ優勝のクラブセッティングです。
基本はブリヂストンで統一されています。

<全米女子アマのクラブセッティング>
ドライバー:ブリヂストン B-Limited B1(ロフト9.5度)
シャフト:グラファイトデザイン ツアーAD DI(重さ60g台、硬さS)
フェアウェイウッド:ブリヂストン ツアーB XD-Fプロトタイプ(3番15度)
ユーティリティ:ブリヂストン B1 HY(18度)
アイアン:ブリヂストン ツアーB 201CB(4番-PW)
ウェッジ:ブリヂストン BRM(50、54、58度)
パター:テーラーメイド TP コレクション HYDRO BLAST ジュノ TB2
ボール:ブリヂストン ツアーB X

男子アマ上級者のハードヒッター?と思わせるセッティングですね。

参考記事

馬場咲希の優勝クラブは“男子並み”ハードセッティング
◇女子アマチュア◇全米女子アマ 最終日(14日)◇チェンバーズベイGC(ワシントン州)◇6541yd(パー73) 17歳の馬場咲希が1985年の服部道子以来、日本勢として37年ぶりに「全米女子アマチュア選手権」を制した。ブリヂストンのクラブを長く愛用しており、テーラーメイドのパターを除く13本とボールが全て同社製。用具...

コメント