女子プロゴルファー優勝者の法則

スター選手にスポットが当たるスポーツ界。
人気の女子プロゴルフも例外ではありませんが、ツアーで優勝するのは、限られた一部です。
大きく節目が変わった2019年以降の優勝選手を見ると、「ある法則」があります。
この法則を破る選手が出てくるのを期待を込めた記事でもあります。

2019シーズン優勝者の分析

2019年の優勝者を振り返った記事を、過去に書いています。
この年は、黄金世代の優勝者が華々しく世に出た年でもあり、一気に優勝者が若返りました。

2019 LPGA優勝者一覧とクラブセッティング
大きな話題と人気を誇った、国内女子ゴルフ、LPGAツアー。全39戦が行われたのですが、その優勝者には、大きな傾向がありました。黄金世代が脚光を浴びたこと、事実、彼女たちは勝っています。全体に、極端な若返りがあった優勝者の一覧とクラブセッティングをまとめました。

傾向として言えたのは、優勝者は1億円プレイヤーの実力者か黄金世代が中心。
20代の優勝者で、かつ黄金世代より年上のプレイヤーは柏原明日架さんのみでした。
それ以降の優勝者を振り返ってみます。

2020-21シーズンの優勝者と分析

まずは、2020年ですが、コロナ禍の影響で14試合のみの開催となりました。
結果として、シーズンは、2020-21と統合されたシーズンとカウントされます。

2020年の優勝者と分析

アース・モンダミンカップ 渡邉彩香
NEC軽井沢72ゴルフトーナメント 笹生優花
ニトリレディスゴルフトーナメント 笹生優花
ゴルフ5レディス プロゴルフトーナメント 小祝さくら
日本女子プロゴルフ選手権大会コニカミノルタ杯 永峰咲希
第51回デサントレディース東海クラシック 古江彩佳
日本女子オープンゴルフ選手権 原英莉花
スタンレーレディスゴルフトーナメント 稲見萌寧
富士通レディース 2020 申ジエ
樋口久子 三菱電機レディスゴルフトーナメント 西村優菜
TOTOジャパンクラシック 申ジエ
第36回伊藤園レディスゴルフトーナメント 古江彩佳
第39回大王製紙エリエールレディスオープン 古江彩佳
JLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ 原英莉花

青字:黄金世代以下
赤字:ツアー初優勝

14試合のみの優勝者ですが、傾向は顕著です。
まずは、黄金世代では、小祝さくら、原英莉花の2選手で3勝。
その下、プラチナ(ミレニアム)世代では、古江彩佳、西村優菜の両選手で4勝。
その間の生まれ年、1999年生まれの稲見萌寧さんが1勝。
さらに下、新世紀世代、2001年生まれの笹生優花さんが鮮烈な2勝。
つまり、14戦中、黄金世代以下で、過半数の10勝となっています。

それ以外だと、1億円プレイヤーの申ジエさんが2勝。
同じく、1億円プレイヤーの渡邉彩香さんが久々の優勝。
永峰咲希さんが選手権を勝ちましたが、これはプロ2勝目。

つまり、2020年も、2019年とほぼ同じ構図。
法則は、初優勝者は、黄金世代以下のプレイヤーしかいないという結果でした。

2021年の優勝者と分析

続いて、2021年の優勝者を見てみます。
ここでは、2020年と若干だけですが、違う事例が見えます。

第34回ダイキンオーキッドレディスゴルフトーナメント 小祝さくら
明治安田生命レディス ヨコハマタイヤゴルフトーナメント 稲見萌寧
Tポイント×ENEOS ゴルフトーナメント 小祝さくら
アクサレディスゴルフトーナメント in MIYAZAKI 2021 岡山絵里
ヤマハレディースオープン葛城 稲見萌寧
富士フイルム・スタジオアリス女子オープン 稲見萌寧
KKT杯バンテリンレディスオープン 山下美夢有
39th フジサンケイレディスクラシック 稲見萌寧
パナソニックオープンレディースゴルフトーナメント 上田桃子
ワールドレディスチャンピオンシップ サロンパスカップ 西村優菜
ほけんの窓口レディース 大里桃子
中京テレビ・ブリヂストンレディスオープン 稲見萌寧
リゾートトラスト レディス 勝みなみ
ヨネックスレディスゴルフトーナメント 笠りつ子
宮里藍 サントリーレディスオープンゴルフトーナメント 青木瀬令奈
ニチレイレディス 申ジエ
アース・モンダミンカップ 菊地絵理香
資生堂 レディスオープン 鈴木愛
ニッポンハムレディスクラシック 堀琴音
GMOインターネット・レディース サマンサタバサグローバルカップ 若林舞衣子
大東建託・いい部屋ネットレディス 申ジエ
楽天スーパーレディース 吉田優利
NEC軽井沢72ゴルフトーナメント 小祝さくら
CAT Ladies2021 小祝さくら
ニトリレディスゴルフトーナメント 稲見萌寧
ゴルフ5レディス プロゴルフトーナメント 吉田優利
日本女子プロゴルフ選手権大会コニカミノルタ杯 稲見萌寧
第52回住友生命Vitalityレディス 東海クラシック 西村優菜
第48回ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープンゴルフトーナメント 西村優菜
日本女子オープンゴルフ選手権 勝みなみ
スタンレーレディスゴルフトーナメント 渋野日向子
富士通レディース 2021 古江彩佳
NOBUTA GROUP マスターズGC レディース 古江彩佳
樋口久子 三菱電機レディスゴルフトーナメント 渋野日向子
TOTO ジャパンクラシック 古江彩佳
第37回伊藤園レディスゴルフトーナメント 稲見萌寧
第40回大王製紙エリエールレディスオープン 原英莉花
JLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ 三ヶ島かな

青字:黄金世代以下
赤字:ツアー初優勝

2021年は予定通り、38試合が行われました。
色分けしましたが、最も目立つのは青字の選手、つまり、黄金世代以下で複数回優勝選手です。
その優勝回数は、25回と過半数を占めます。

初優勝は、4選手のみで、うち2選手は山下美夢有、吉田優利と黄金世代以下の選手。
それ以上の年齢の初優勝選手は、堀琴音、三ヶ島かなの2選手のみということになります。

2022シーズンの優勝者と分析

シーズンは2022年に入りました。前半戦終了時の優勝者は下記となっています。

第35回ダイキンオーキッドレディスゴルフトーナメント 西郷真央
明治安田生命レディス ヨコハマタイヤゴルフトーナメント サイペイイン
Tポイント×ENEOS ゴルフトーナメント 堀琴音
アクサレディスゴルフトーナメント in MIYAZAKI 2022 西郷真央
ヤマハレディースオープン葛城 西郷真央
富士フイルム・スタジオアリス女子オープン 上田桃子
KKT杯バンテリンレディスオープン 植竹希望
40th フジサンケイレディスクラシック 高橋彩華
パナソニックオープンレディースゴルフトーナメント 西郷真央
ワールドレディスチャンピオンシップ サロンパスカップ 山下美夢有
ほけんの窓口レディース 渡邉彩香
ブリヂストンレディスオープン 西郷真央
リゾートトラスト レディス 小祝さくら
リシャール・ミル ヨネックスレディスゴルフトーナメント2022 稲見萌寧
宮里藍 サントリーレディスオープンゴルフトーナメント 山下美夢有
ニチレイレディス 西村優菜
アース・モンダミンカップ 木村彩子
資生堂 レディスオープン 青木瀬令奈
ニッポンハムレディスクラシック 西村優菜

青字:黄金世代以下
赤字:ツアー初優勝

前半の19試合を終えた段階ですが、やはり目立つのは青字の部分で、10勝です。
トピックとしては、いつか勝ってもおかしくないと言われた、西郷真央さんが、開幕戦で初勝利を挙げ、前半戦だけで5勝と、無類の強さを見せています。
また、同じく初優勝が期待された、黄金世代、植竹希望、高橋彩華の両選手も優勝をしました。
ですから、黄金世代以下の選手合計では、19試合中13勝ということになります。
ベテランの上田桃子さんや、青木瀬令奈さんの優勝も、感動的ではありました。

一方で、その他初優勝者を見てみると、サイペイイン、木村彩子の2選手のみとなります。
木村彩子さんはプロ入り以来、急激ではありませんが、着実に実力を積み上げてきた選手。
1995年生まれで、2015年がプロ入会となります。

そうなると、2019年以来で、非常に珍しいのが、サイペイインさんの優勝となります。
1991年生まれで、来日12年目、30代での初優勝は実に久し振りのことです。
いつの誰以来か調べてみましたが、JLPGAの資料にありました。

初優勝トーナメント|JLPGA|日本女子プロゴルフ協会
一般社団法人日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)の公式サイトです。

最も最近の優勝でも、2016年、ヨネックスレディスのチュティチャイ選手以来となりますね。

女子プロゴルファー初優勝で続いている法則は?

さて、2019年以降の優勝者を分析してみて分かる傾向があります。それは、

現在の女子ゴルフツアーでは、黄金世代以下の優勝者が過半数を占める。
生涯獲得賞金1億円以上の実力者選手が、年間で一定数勝つ。
この3年半で30代の初優勝は1人だけ。
この3年半で、黄金世代より年上の20代の初優勝は、4人だけ。
※2019年の柏原明日架、2021年の堀琴音、三ヶ島かな、2022年の木村彩子。

そして、もう1点、ある意味恐ろしい法則があります。
それは、黄金世代以下でも、優勝者した選手は、プロテスト受験回数が2回以内であることです。
逆に言えば、プロテスト受験に関して、3回以上合格にかかった選手に優勝者はいません。

こう書いてしまうと、身も蓋もない。プロテストを2回失敗した選手は、プロ入りしても優勝可能性は低い(※この3年半ではゼロ)という、とても悲しい結論になってしまいます。
一方で、どの選手にも成長のスピードがあるというのも現実ではないかと信じています。
プロテストにはなかなか通らなかったものの、悲願の初優勝を達成する選手の登場も願いたい。

厳しい現実、その見極めを、どのようなタイミングでするのかは、選手本人の決断です。

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