毎年新しい選手が続々と登場する女子ゴルフ。その中、2023年のアクサレディスでは、26歳、プロ入り7年目の山内日菜子さんが初優勝を飾りました。昨年末のQTでは不注意で8打罰を受け、QTランキング181位と絶望的な位置から臨んだ大会での優勝は意味のあるものです。
山内日菜子のプロフィール
山内日菜子さんのプロフィールは以下の通りです。
プロテスト合格日:2016年7月29日
入会日:2016年7月30日(88期生)
ゴルフ歴:9歳~
身長:162cm
体重:60kg
血液型:O型
出身校:山梨学院大学中退
契約
クラブ:テーラーメイド
ボール:テーラーメイド
ウェア:ニューバランス
シューズ:ニューバランス
プロテストは2016年に一発合格。アマチュア時代の戦績はこちら。
2017年には、ステップのHanasaka Ladies Yanmar Golf Tournamentで初優勝を飾ります。
先ずは順調なプロ初年度でしたが、以降はステップアップツアーとレギュラーツアーを行き来する生活となります。
過去年度におけるレギュラーツアーの成績は以下の通りです。
2022 ¥2,095,000 122位 73.4091
2020-21 ¥7,105,000 103位 73.4804
2019 ¥8,424,571 90位 73.4602
2018 ¥0 159位 76.3750
2017 ¥866,000 136位 73.4545
山内日菜子のプレースタイル
元々、ショートゲームから組み立てるプレースタイルで、大崩れはないタイプです。
しかし、女子ゴルフは大きな転換点を迎えます。
それは、2019年からが顕著で、いわゆる黄金世代が台頭。
彼女たちは果敢にショートサイドのピンを攻め、バーディーを獲っていきます。
パーセーブを中心としたプレースタイルでは、ツアーで上位には食い込めない時代となりました。
この流れはミレニアム世代(プラチナ世代)の登場でさらに顕著となり、以降も高卒ルーキーのアグレッシブなプレースタイルが主流となります。
悔やまれるQTの失敗と限られる出場機会
今回のアクサレディス優勝、いや出場に至るまでは大きなドラマがありました。
話は昨年末のQTにさかのぼります。
山内さんはファーストQTから受験したのですが、思いがけないペナルティーを受けます。
それは、クラブ本数の超過で、練習用のクラブをバッグに入れたまま、4ホールをプレー。
このため、8打罰と、QTでは致命的な罰打が加えられることになりました。
QTの結果は、181位。
これは彼女自身、プロ入り最悪の結果でもあり、レギュラーツアーはおろか、ステップアップツアー出場もランキングでは叶わない順位です。
その失望たるや、想像に難くなく、どのようにモチベーションを保っていくのか、はた目にも心配になりました。
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これで、2023年の出場機会は、限られた推薦出場のみと容易に予想されました。
ツアーへの出場が叶わないとなると、正直なところ、いわゆるゴルフ番組への出演が主にならざるを得ないのではと考えられたところです。
明けて、2023年シーズン。
まずは、ステップの開幕戦、大王海運レディスオープンに推薦出場の機会を得ました。
失意のQTから、多くの励ましとサポートにより29位タイの成績を残しました。
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山内日菜子は第1回からアマチュアで推薦出場
さて、翌週のアクサレディス。
山内さんは、推薦で出場機会を得ます。
コースは超地元、自宅から20分の距離にある、UMKカントリークラブ。
幼い頃から慣れ親しんだコースで内容は熟知しています。
そして、この大会はアマチュア時代から推薦出場の機会を与えられており、2013年の第1回大会から出場です。
第1回大会、初日のペアリングがこのようになっています。
地元高校出身で人気の香妻琴乃さんと、日本女子アマ2連覇後プロ入りし、将来性の期待が大きかった比嘉真美子さんとのペアリング。
トーナメント初日の第1打を高校生アマの山内さんが放っていったところから大会はスタートしました。
しかし、この大会は実力及ばず、103位タイ、+11で予選落ちとなってしまいました。
奇しくも、2023年の最終日、最終組で優勝を争ったのが、この比嘉真美子さんとなりました。
配信でお伝えしたお話をここでも。
2013年の記念すべき第1回大会、最初にティーオフしたのは、当時アマチュアの山内日菜子選手。そして同じ組には比嘉真美子プロ。
10年の時を経て、2023年大会はこの2人が優勝争い。最後の1打をカップに沈めたのは山内日菜子プロでした!! pic.twitter.com/p8v8JuarOy— 小西綾子 (@koniaya22) March 26, 2023
地元の利と心身、技術とも結集の優勝
とは言え、昨今の女子ゴルフのレベルからすると、以前と変わらないプレースタイルでは上位入賞は厳しい。
この大会は初日から最終日まで大混戦。
もちろん、山下美夢有、稲見萌寧といったトッププロも出場しています。
ある意味、あとが無い山内さんにとっては、背水の陣で臨んだ試合です。
しかし、大接戦の中、最終日はボギー先行ながら、2つのチップインバーディーを奪取。
勝負どころでのパッティングも決め、会心の勝利となりました。
山内日菜子の優勝がもたらすもの
山内さんの優勝は、未勝利のプロにとって、非常に大きな刺激となります。
ここ数年の傾向で言うと、プロテストに若いうちから合格し、ステップを経由せず、いきなりレギュラーツアーで結果を残していく選手の方が主流となっています。
2022年の川﨑春花、尾関彩美悠といった選手が最たる例ですが、いわゆるステップからコツコツと力を溜めてレギュラーツアーで戦っていく選手は非常に稀です。
2023年のシード選手50名を見ても、このカテゴリーに入るのは、岸部桃子さんが唯一と言って良いほどです。
そういった中での優勝ですから、これは、山内さんと似た境遇の選手には大きな刺激と言えます。
ひなちゃんの優勝感動したな🥲
おめでとう🥲㊗️❣️実は大学の後輩。笑
私もがんばるーーーーーー🥲💪🏾!!!!!!— 村田理沙 (@risa19950622) March 26, 2023
村田理沙さんがツイートをしていますが、その典型であると言えます。
山内日菜子クラブセッティング
今回優勝を果たした、山内日菜子さんのクラブセッティングです。
契約はテーラーメイド。全てがテーラーメイドで統一されています。
ドライバー:テーラーメイド ステルス2(ロフト10.5度)
シャフト:藤倉コンポジット SPEEDER NX GREEN(長さ45.5インチ、重さ50g台、硬さR)フェアウェイウッド:テーラーメイド ステルス2(3番HL16.5度、7番21度)
シャフト:藤倉コンポジット SPEEDER NX GREEN(重さ50g台、硬さR)ユーティリティ:テーラーメイド ステルス2 レスキュー(4番22度、5番25度)
シャフト:藤倉コンポジット MCH(重さ60g台、硬さR)アイアン:テーラーメイド P790(6番~PW)
シャフト:日本シャフト NSプロ ゼロス8(硬さR)ウェッジ:テーラーメイド ミルドグラインド 3(48、52、58度)
シャフト:日本シャフト NSプロ 850GH(硬さR)パター:テーラーメイド スパイダー GTx BLACK トラス TM1
ボール:テーラーメイド TP5x
参考記事
今後の山内日菜子への期待と課題
今回の優勝により、一気に山内さんは今年のツアー、全戦の出場権を得ました。
また、ツアー優勝者ですので、2024年も1年間レギュラーツアーでの戦いが約束されました。
とは言え、レベルアップしているツアーで生き残っていくには、並大抵以上の努力が求められます。
飛距離、精度、マネジメント、体力など、あらゆる意味での向上が必要です。
まずは、何よりも感動の優勝、おめでとうございます。
ただし、本当のプロでの戦いはこれからとも言えます。
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