2022年も女子ゴルフ、JLPGA新人戦加賀電子カップが開催。今回は史上初ですが、既にレギュラーツアー優勝者が複数出場するという高レベルな94期生の戦いです。2021年新人戦出場選手とその後の活躍を踏まえて見どころを解説します。
昨年大会の記事

2022JLPGA新人戦 加賀電子カップ大会概要
開催日程:2022年12月8日~12月9日
開催コース:グレートアイランド倶楽部(千葉県) / 6,482Yards Par72(36,36)
賞金総額:¥10,000,000
出場選手:2021年度プロテスト合格者21名
2022JLPGA新人戦 加賀電子カップ放送予定
恒例ですが、スカイAにて下記、放送予定です。
12月8日(木)8:00~10:00、10:30~14:30(LIVE)
12月9日(金)8:00~10:00、10:30~15:00(LIVE)
2021JLPGA新人戦 加賀電子カップ振り返り
2022年開催を前に、2021年大会出場選手を振り返ります。
史上最強と言われた93期生の戦いですが、まずは、新人戦の結果。
POS | PLAYER | SCORE | 1R | 2R | TOTAL | PRIZE |
優勝 | 桑木 志帆 | -4 | 69 | 71 | 140 | ¥1,800,000 |
2 | 内田 ことこ | -4 | 70 | 70 | 140 | ¥900,000 |
3 | 山田 彩歩 | -2 | 68 | 74 | 142 | ¥700,000 |
4 | 小倉 彩愛 | -1 | 72 | 71 | 143 | ¥620,000 |
5T | 後藤 未有 | 0 | 72 | 72 | 144 | ¥535,000 |
5T | 佐久間 朱莉 | 0 | 68 | 76 | 144 | ¥535,000 |
7 | 岩井 明愛 | 1 | 72 | 73 | 145 | ¥470,000 |
8T | 薮田 梨花 | 2 | 75 | 71 | 146 | ¥410,000 |
8T | 植手 桃子 | 2 | 73 | 73 | 146 | ¥410,000 |
8T | 工藤 優海 | 2 | 71 | 75 | 146 | ¥410,000 |
11T | リ ハナ | 3 | 74 | 73 | 147 | ¥335,000 |
11T | 阿部 未悠 | 3 | 74 | 73 | 147 | ¥335,000 |
13 | 篠崎 愛 | 4 | 74 | 74 | 148 | ¥290,000 |
14T | フォン スーミン | 6 | 76 | 74 | 150 | ¥245,000 |
14T | 上野 菜々子 | 6 | 76 | 74 | 150 | ¥245,000 |
16 | 岩井 千怜 | 8 | 80 | 72 | 152 | ¥200,000 |
17T | 平井 亜実 | 9 | 79 | 74 | 153 | ¥185,000 |
17T | 橋添 穂 | 9 | 78 | 75 | 153 | ¥185,000 |
19 | 奥山 友梨 | 10 | 80 | 74 | 154 | ¥176,000 |
20T | 浜崎 未来 | 12 | 78 | 78 | 156 | ¥172,000 |
20T | 東 風花 | 12 | 78 | 78 | 156 | ¥172,000 |
22 | 松本 珠利 | 18 | 87 | 75 | 162 | ¥170,000 |
プレーオフの戦いとなり、ショットメーカー桑木志帆さんが優勝しました。
この大会の結果はもとより、史上最強と言われたのには理由があります。
それは、ステップアップツアー優勝者が既に6人おり、直前に行われたQTでも上位通過選手が多く、非常にレベルの高い内容が期待されたからです。
93期生の2022年シーズン
それでは、93期生、2022年シーズンを一覧表で振り返ります。
※プロテスト合格順で、2021年QT順位から2022年のメルセデスランキング順位、そして2023年シーズンに出場する権利(QT順位を含む)を記載しています。
テスト 順位 | PLAYER | テスト スコア | 2021 QT | 2022 成績 | 2022 QT |
1 | 佐久間 朱莉 | -18 | 14 | 33 | シード |
2 | 松本 珠利 | -15 | – | 230 | 17 |
3 | 岩井 明愛 | -12 | 70 | 40 | シード |
4 | 内田 ことこ | -11 | 26 | 62 | 27 |
5 | 橋添 穂 | -10 | 67 | 170 | 87 |
6 | 後藤 未有 | -9 | 17 | 37 | シード |
7T | 工藤 優海 | -8 | 40 | 100 | 41 |
7T | リハナ | -8 | 免除 | 54 | 免除 |
9T | 小倉 彩愛 | -7 | 12 | 50 | シード |
9T | 岩井 千怜 | -7 | 90 | 18 | シード |
11T | 薮田 梨花 | -6 | 127 | 197 | 36 |
11T | 平井 亜実 | -6 | 104 | 173 | 92 |
11T | 浜崎 未来 | -6 | 51 | 76 | 8 |
11T | 阿部 未悠 | -6 | 23 | 44 | シード |
11T | 植手 桃子 | -6 | 115 | 152 | 90 |
16T | フォンスーミン | -5 | 86 | 118 | – |
16T | 篠崎 愛 | -5 | 192 | 155 | 81 |
16T | 山田 彩歩 | -5 | 116 | 158 | 59 |
16T | 上野 菜々子 | -5 | 30 | 55 | 免除 |
20T | 桑木 志帆 | -4 | 13 | 51 | 免除 |
20T | 東 風花 | -4 | 195 | 164 | 1次敗退 |
20T | 奥山 友梨 | -4 | 162 | 208 | 10 |
史上最強と言われたのには理由があって、新人戦を迎える時点でステップアップツアーの優勝経験者が6人おり、加えて、直前のQTで上位に入り、レギュラーツアーの出場権を獲得していた選手が多数いたのも理由です。
この表から見て、確かに史上最強と言われた内容の成績が翌シーズンの結果でも表れています。
主なものを見てみると、
佐久間朱莉、後藤未有、岩井明愛、阿部未悠、小倉彩愛とシード獲得。
リハナ、上野菜々子、桑木志帆と前半戦出場権獲得。
特筆すべきは、QTで30位以内に入った選手は、年間を通じてレギュラーツアーで戦い抜いたことです。2022シーズン終了時に、22選手中、9選手が年間、または前半戦出場権を手にしました。
岩井姉妹はQTで上位ではなかったものの、推薦出場などの機会を活かし、千怜さんは2度の優勝で、明愛さんはメルセデスランキングでシードを勝ち取りました。
加えて言えば、2022年のQTでも、浜崎未来、奥山友梨、松本珠利、内田ことこ、薮田梨花といった選手が上位通過を果たし、レギュラーツアー前半戦の出場権を確保した位置です。
94期生の2022年シーズン
同じ切り口で94期生を一覧で見てみます。
テスト 順位 | PLAYER | テスト スコア | 2021 QT | 2022 成績 | 2022 QT |
1 | 尾関 彩美悠 | -8 | 58 | 42 | シード |
2 | 高久 みなみ | -5 | 44 | 122 | 86 |
3 | 泉田 琴菜 | -2 | 134 | 86 | 18 |
4 | 佐藤 心結 | -1 | 11 | 29 | シード |
5T | 新 真菜弥 | 0 | 76 | 182 | 1次敗退 |
5T | 丹 萌乃 | 0 | 165 | – | 1次敗退 |
5T | 藤田 かれん | 0 | 89 | 141 | 1次敗退 |
5T | 竹田 麗央 | 0 | 133 | 58 | 22 |
9T | 村上 瑞希 | 1 | 182 | 212 | 1次敗退 |
9T | 星野 杏奈 | 1 | 47 | 133 | 1次敗退 |
9T | 永嶋 花音 | 1 | 5 | 127 | 57 |
12T | 小林 夢果 | 2 | 131 | 199 | 74 |
12T | 櫻井 心那 | 2 | 117 | 94 | 免除 |
12T | 川崎 春花 | 2 | 62 | 15 | シード |
15T | 須江 唯加 | 3 | 185 | 167 | 1次敗退 |
15T | 仁井 優花 | 3 | 148 | 109 | 16 |
15T | 桑山 紗月 | 3 | 228 | – | 79 |
15T | 大林 奈央 | 3 | 132 | 149 | 68 |
15T | 天本 ハルカ | 3 | 32 | 70 | 32 |
20T | 成澤 祐美 | 4 | 124 | 103 | 1次敗退 |
20T | 宮澤 美咲 | 4 | 120 | 193 | 免除 |
特筆すべきは、シーズンをステップアップツアーからスタートした川﨑春花、尾関彩美悠の2選手が中盤以降に急上昇し、レギュラーツアーで優勝を飾ったことです。しかも川﨑春花さんは初優勝がメジャーの日本女子プロゴルフ選手権で、その後も1勝を挙げ、シーズン2勝です。
佐藤心結さんも安定した成績で、シード権を獲得しました。
また、94期生は、ステップアップツアーで頑張った選手が目立ちます。
何と言っても、櫻井心那さんがシーズン5勝と新記録を作り、満を持して来季は開幕戦からレギュラーツアーに出場します。
同じく、宮澤美咲さんもステップ1勝に加え、安定した成績で、年間獲得賞金ランキング2位となり、来季前半戦はレギュラーツアーです。
そして、QTで上位に入った顔ぶれで言うと、仁井優花、泉田琴菜、竹田麗央、天本ハルカといった選手は開幕戦からレギュラーツアーに出場です。
また、ルーキーイヤーにステップアップツアーでは、大林奈央、桑山紗月の2選手も優勝を飾っており、2023シーズンも、前半戦の戦い次第では大きく飛躍する可能性があります。
こういった選手の現在地と可能性を見るのが新人戦の楽しみ方の1つだと思います。
#2021年度JLPGA最終プロテスト#FinalRound が終了し、21名の女子プロゴルファーが新たに誕生しました✨
最終成績はこちら👇https://t.co/iwU7yg21os#JLPGA pic.twitter.com/x7ccim6fR6
— 日本女子プロゴルフ協会(JLPGA) (@JLPGA_official) November 5, 2021

2022JLPGA新人戦 加賀電子カップの結果
2022年の締めくくり、新人戦、加賀電子カップの結果です。
POS | PLAYER | SCORE | 1R | 2R | TOTAL |
優勝 | 川﨑 春花 | -7 | 67 | 70 | 137 |
2 | 永嶋 花音 | -6 | 70 | 68 | 138 |
3T | 竹田 麗央 | -5 | 72 | 67 | 139 |
3T | 髙久 みなみ | -5 | 68 | 71 | 139 |
5 | 大林 奈央 | -3 | 70 | 71 | 141 |
6T | 宮澤 美咲 | -2 | 73 | 69 | 142 |
6T | 佐藤 心結 | -2 | 71 | 71 | 142 |
6T | 須江 唯加 | -2 | 69 | 73 | 142 |
9 | 泉田 琴菜 | 0 | 72 | 72 | 144 |
10T | 小林 夢果 | 1 | 75 | 70 | 145 |
10T | 成澤 祐美 | 1 | 75 | 70 | 145 |
12T | 仁井 優花 | 2 | 74 | 72 | 146 |
12T | 尾関 彩美悠 | 2 | 70 | 76 | 146 |
14 | 天本 ハルカ | 3 | 73 | 74 | 147 |
15T | 櫻井 心那 | 4 | 73 | 75 | 148 |
15T | 藤田 かれん | 4 | 70 | 78 | 148 |
17T | 星野 杏奈 | 5 | 76 | 73 | 149 |
17T | 丹 萌乃 | 5 | 71 | 78 | 149 |
19 | 桑山 紗月 | 7 | 74 | 77 | 151 |
20 | 村上 瑞希 | 9 | 73 | 80 | 153 |
21 | 新 真菜弥 | 21 | 81 | 84 | 165 |
終わって見れば、「本命」とされた川﨑春花さんが1打差で逃げ切り優勝。
しかし、内容的には終盤戦まで圧勝パターンで、1枚上のプレーでした。
2022JLPGA新人戦 加賀電子カップの総括
川﨑春花さんが、内容的には圧倒的な力を見せて勝ったこと。
これは94期生、それぞれに大きな刺激をもってオフシーズンを迎える理由になるでしょう。
来季は、シード選手として3選手が、また前半戦出場権としては、6選手がレギュラーツアーに参戦します。
川﨑春花という1つの明確な目標があって、そこに追いついていかなければ、優勝争いはできないことを実感したと思います。
そのためには、何を伸ばし、どこを改善するかは明確。
悔しい想いをした選手たちの、オフでの奮起を期待します。
また、ステップが主戦場となる、永嶋花音、髙久みなみの両選手も、この大会は頑張りました。
この2選手には、ステップでの複数回優勝と、年間賞金ランキング2位以内を期待したい。
そして、目標は来年1年間でステップを卒業すること。
何年もいると、「それなりのレベル」で安定してしまうことが多々です。
特にこの両選手は、2022シーズン前半戦をレギュラーツアーで戦い、悔しい想いをしてきました。
とは言え、全く通用しなかった訳ではなく、1打、2打足りず予選落ちが多かったパターンです。
今回の新人戦も、優勝までは、1打、2打足りなかった。
勝負どころと言われる場面は、必ず試合で出て来ます。
そこを決められるかどうかが、一流とそうでない選手の分かれ目。
こちらにも期待したいと思います。
2023JLPGA新人戦 加賀電子カップの変更点
さて、表彰式で特別協賛社、加賀電子の塚本会長からスピーチがありました。
2023年大会は以下が変更されます。
2:2023年大会は95期生と96期生の合同開催
3:賞金総額の増額
JLPGAは2023スケジュール発表前ですので、新人戦の変更を発表するタイミングではない。
しかし、内容的にはほぼ、これで合意されていて実施されていくことだと思います。
特に2番目の、95期生と96期生の合同開催。
これは、2023年度1回きりの試みとなると思います。
と言うのも、JLPGAは2019年度からプロテスト時期を変更し、現役高校生が受験可能としました。
その関係もあって、2019年の新人戦は、「はざま」となり無開催。
2023年は、新人戦の意味合いをリセットし、再スタートすることになります。
95期生は1年の締めくくりとなりますが、96期生にとっては最初の大会になります。
新人戦をどういった位置づけにするかの定義ですが、この内容でも良いと思います。
2024年以降は、その年のプロテスト合格後、最初の試合となるので、プロとしての成績はQTの結果だけになります。
これはこれで、「原石の発見」という意味が強くなりますね。
そして、3日間大会と言うのも地味に大きいです。
それは、ロレックスランキング対象試合となることです。
ステップアップツアーも3日間大会となっていて、ロレックスランキング対象試合です。
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