2019年の全英女子オープン優勝者として、全米女子オープンに参戦した渋野日向子さん。
2020年は必ずしも好調とは言えないシーズン。
そして、全米女子オープンは、初参戦でした。
その、4日間の戦いぶりを振り返ります。
大会概要
主催:USGA(全米ゴルフ協会)
開催日:2020年12月10日~13日
開催コース:チャンピオンズGC
ホストコース:サイプレスクリークコース(6731ヤード・パー71)
サブコース:ジャックラビットコース(6558ヤード・パー71)
参加選手数:156名
例年は夏に開催される全米女子オープンですが、コロナ禍により12月開催となりました。
また、156名のフルフィールドを達成するため、史上初、予選ラウンドは2コースを使います。
出場日本人選手
各地での予選会が行われなかった2020年。
そのため、ロレックスランキング等を参考に出場資格が与えられました。
その結果、日本人選手は、史上最多の19名が出場となりました。
初日のスタート時間、コースとともに選手名を列記しておきます。
■日本時間0時31分(現地9時31分)
稲見萌寧(初出場、ジャックラビットC:10番)
西村優菜(初出場、ジャックラビットC:10番)
■日本時間0時53分(現地9時53分)
勝みなみ(2年連続2回目、サイプレスクリークC:1番)
上田桃子(7年ぶり7回目、ジャックラビットC:1番)
■日本時間1時04分(現地10時04分)
三ヶ島かな(初出場、サイプレスクリークC:10番)
小祝さくら(初出場、ジャックラビットC:10番)
■日本時間1時15分(現地10時15分)
岡山絵里(2年連続2回目、ジャックラビットC:10番)
柏原明日架(初出場、ジャックラビットC:10番)
■日本時間1時26分(現地10時26分)
比嘉真美子(2年連続2回目、サイプレスクリークC:1番)
古江彩佳(初出場、サイプレスクリークC:1番)
畑岡奈紗(3年連続3回目、ジャックラビットC:10番)
■日本時間1時37分(現地10時37分)
渋野日向子(初出場、サイプレスクリークC:10番)
■日本時間2時10分(現地11時10分)
穴井詩(5年ぶり3回目、サイプレスクリークC:10番)
■日本時間2時21分(現地11時21分)
高橋彩華(初出場、ジャックラビットC:1番)
河本結(初出場、ジャックラビットC:10番)
■日本時間2時32分(現地11時32分)
笹生優花(初出場、サイプレスクリークC:1番)
渡邉彩香(3年ぶり3回目、サイプレスクリークC:10番)
淺井咲希(初出場、ジャックラビットC:10番)
原英莉花(初出場、ジャックラビットC:10番)
同時期に開催される大会はなかったため、選手たちは、かなり前から会場入り。
精力的に練習ラウンドをこなしました。
大会初日
12月としては珍しいくらいの暖かさ。
シガンダ選手などは、半袖でプレーするほどでした。
そして、迎えた初日の上位陣。全体がこちら。
嬉しい驚きですが、渋野日向子さんは、首位と1打差2位の好発進です。
スイング改造やLPGAツアーにスポットながら初参戦した2020年。
必ずしも満足のいく結果ではない年でしたが、この大一番で結果を出してきました。
「良いスタート過ぎるので、なかったことにして」と冗談めかし、雷雲予報のため予定より1時間20分早い午前9時17分からジャックラビットを回る2日目に向け「貯金が3つできたと思いながらやる。あすはショットがどこかに行くかも知れないですし(笑)悪天候なので耐えて、耐えまくるしかないですね」。
しぶこさんのコメントにあるように、2日目以降は悪天候の予報が出ていました。
大会2日目
初日に好スタートを決めた、しぶこさんに注目が集まります。
さすがにメジャーセッティングなので、全体のスコアは伸びません。
そんな中、2日目を終えての上位陣。全体がこちら。
初日の2位発進に驚いたのが甘かった?
何と、2位に3打差をつけての単独首位です。
大会前には、「健闘を願う」レベルでしたが、俄然、優勝争いの軸になりました。
しかし、しぶこさんは、冷静に自分の調子を見ています。
写真に撮りたいというのは、「しぶこ節」できっと撮ったでしょう。(笑)
しかし、プレー自体は、ショットが良く、ことごとくパーオン。
それに加え、パッティングのタッチが、全選手で最も合っている。
ですから、当然、この位置というのは、納得できるものでした。
しかし、試練はこのあとにやってきます。
2日目は、雷雲接近予報のため、スタート時間が80分繰り上がっていました。
予報通り、2日目のホールアウト後、コースにはかなりの雨が降りました。
大会3日目
3日目は、まず、コースコンディションに触れなければなりません。
前日の雨で、コース内は、かなりの部分がウェットでした。
ラフはもちろんのこと、フェアウェイであっても、ボールには頻繁に泥が付く。
通常の試合であれば、プリファードライが適用され、選手はボールを拭くことが許されるレベルです。
しかし、USGAは、過去の主催大会で、1度もプリファードライを採用していません。
「ゴルフはあるがまま」という原則を忠実に守った考え方です。
しかし、この措置により、選手たちのショットに躊躇と予期せぬ狂いも生じました。
本来であれば予選を通過した、レベルの高い選手たちですが、スコアは上がりませんでした。
3日目を終わっての上位陣。全体がこちら。
渋野日向子さんは、スコアを2つ落としてしまいました。
しかし、フィールド全体のスコアも伸びなかった。
ですから、首位をキープ。でも、苦しいラウンドでした。
本人も言う通り、良く粘った。
特にパーオンは落ちたものの、アプローチとクラッチパットを決め、凌いだラウンドでした。
最終日も悪天候の予報が出ており、厳しい戦いが予想されました。
大会4日目
本来ならば、最終日なのですが、見出し通り4日目です。
というのも、早い組はスタートできたのですが、結局、
雷雨のため、サスペンディッド。
しぶこさんの最終組はスタートできず、決戦は月曜日に持ち越しとなりました。
放送局も、急きょ特別編成で、放送を決めました。
大会最終日
悪天候によるサスペンディッドの影響で、最終日は月曜日となりました。
既にスタートしていた組は、前日の位置から再開です。
最終組は、ティーオフ前だったので、1番のティーショットからのスタートです。
特筆すべきは、最終日の寒さ。
気温は10度に届かず、景色だけ見ていると、全英女子オープンのようです。
選手はダウンやミトンを身に着け、難関コースに挑みます。
また、前日の大雨にも関わらず、プリファードライは採用されず。
本来であれば、フェアウェイにある球は有利なはずですが、必ずしもフェアではなくなりました。
USGAが守り抜いてきた伝統と考えもあるでしょう。
しかし、現代のゴルフでは、フェアウェイはフェアであるべきなのです。
歴史はいつか変わります。まさに今回が、その時だったと感じます。
さて、首位スタートの渋野日向子さんですが、2位とは1打差。
メジャーであること、そのコンディションも相まって、リードは無きに等しいです。
最終日は、最も困難なラウンドになりました。その戦いは、
1番ホールからピンチで何とかしのいだものの、2番でボギー先行。
バーディーを獲りたい5番のパー5は、3打目がトップし、キャリーでグリーンオーバー。
そこから、超絶のアプローチとパッティングで、何とかパーセーブ。
しかし、このあたりで、かなりの精神力を使ってしまったと思います。
バーディーチャンスも無く、苦しいのひと言でのプレーとなりました。
後半の難しい10番もボギー先行。
バックナインで伸ばしていくのが彼女のスタイルですが、そうするにはコースが難し過ぎた。
コンディションの難しさも相まって、苦難のプレーが続きます。
しかし、しぶこさんは最後の力を振り絞り、ギアを上げての13番。
この日最初のバーディーを取り、逆転されていた首位に1打差まで迫ります。
その後、14番から16番まで、ほぼ気迫だけで、相当のプレーを見せてくれました。
しかし、これも難関17番でボギー。ここで優勝の目はなくなりました。
18番こそ、ロングパットを決め、意地のバーディー。
最終的には4位と言う結果で、初の全米女子オープンを終えました。
結果を見れば、それは悔しいでしょう。
しかし、現時点の彼女の力は出し切ったと思います。
彼女のプレーぶりには、優勝には届かなかったものの感動させてもらいましたから。
これからの渋野日向子への期待
2019年、シンデレラストーリーを紡いできた、渋野日向子さん。
その勢いは、想像をはるかに超えるもので、今回も?と期待させてくれました。
しかし、プロゴルファー、渋野日向子は、まだまだ進化の途中です。
これからも、彼女を見守り、進歩を応援していきたいと思います。
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