【大会まとめ】日本女子オープン2021

2年振りの有観客開催となった日本女子オープン。舞台は2016年、畑岡奈紗さんがアマチュアで衝撃の優勝を飾った、烏山城カントリークラブ。3日目を終わり、勝みなみ、西郷真央、西村優菜と3選手による優勝争い。最終日は圧巻の独走劇で幕を閉じました。

事前記事

日本女子オープン2021 放送予定と見どころ
女子ゴルファー日本一を決めるナショナルオープン、第53回日本女子オープン2021が、9月30日から4日間。栃木県の烏山城カントリークラブで有観客試合として行われます。その放送予定や出場選手、ペアリング、観戦チケット販売や見どころです。
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大会初日 上田桃子飛び出す

悲願のメジャー初優勝を狙う、上田桃子さんが単独首位発進です。

上田桃子が首位発進 2差4位Tに原、渋野|JLPGA|日本女子プロゴルフ協会
一般社団法人日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)の公式サイトです。

2016年大会と比較してグリーンが柔らかく、遅いセッティングです。
風も、それほど強くなく、まずまず良いプレーをした選手はアンダーパーでプレーできました。
逆に言えば、それほど、大きな差がつきにくい初日となりました。
首位が-5ですが、イーブンパーが45位タイで62選手と混戦模様です。

(天候:晴れ時々曇り 気温:26.3℃ 風速:2.8m/s)
《グリーン=スティンプ:10 1/2フィート コンパクション:22.5mm》

大会2日目は悪天候により順延

台風の接近により悪天候が予想された2日目。
一旦はスタートが切られたものの、天候の回復が見込めずキャンセルとなりました。

この試合は予備日が設定されているため、10月4日の月曜日を最終日とする日程となりました。

第2ラウンド 西村優菜が驚愕のプレー

台風一過。晴天に恵まれた土曜日の第2ラウンドは、異次元のプレーが出ました。
難関の烏山城カントリー、メジャーセッティングの中で西村優菜さんがやりました。

西村優菜、驚愕の8バーディー、ノーボギー。一気に首位に躍り出ました。
他のプレイヤーのスコアからしても、異次元としか言いようのない見事なプレーでした。

3週連続Vへ前進 西村優菜が63で一気に首位|JLPGA|日本女子プロゴルフ協会
一般社団法人日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)の公式サイトです。

――ナイスラウンドでした。
「すごくいいプレーができた。第1日はショットの調子がいまひとつ。それと、5年前に挑戦したこのコースがすごく難しかったので、そんな記憶から守りに徹しすぎたのかもしれない。きょうは、きのうの雨でグリーンが柔らかくなっている。とにかく、攻めるプレーを心がけた」

確かに前日の雨の影響もあり、グリーンは止まります。
それにしても、全てのショット、パッティングともかみ合ったプレーでした。

(天候:晴れ 気温:28.1℃ 風速:2.9m/s)
《グリーン=スティンプ:10フィート コンパクション:22mm》

第3ラウンド 勝みなみが一歩抜け出す

迎えた日曜日の第3ラウンド、ピンポジションは回る風と共に一気に難しくなります。
上位陣を含め、多くの選手がオーバーパーとする中、勝みなみさんが首位に立ちました。
今季好調の飛距離も武器としましたが、何と言っても2つのチップインが効きました。
5番は第3打を入れてイーグル、そして難関18番はバーディーです。

チップイン2発 首位浮上の勝『本当に優勝したい』|JLPGA|日本女子プロゴルフ協会
一般社団法人日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)の公式サイトです。

そんな中、ただ1人、ノーボギー、5バーディーを奪って上位に駆け上がった選手がいます。渋野日向子さんです。間違いなくナイスプレーでした。

「きのうとは全く別人のゴルフ」渋野日向子は5打差追って優勝争いへ
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但し、-4は首位と5打差。優勝のチャンスは、ほんの少しだけ残ったとも言えます。

(天候:晴れ 気温:25.7℃ 風速:2.0m/s)
《グリーン=スティンプ:10 1/2フィート コンパクション:22.5mm》

優勝争いのポイントと展望

全体として、パー4の距離が長いという印象のセッティングです。
パー3も長いホールだと、バーディーを獲るのは難しい。
いくつか、ポイントを挙げます。

何よりもフェアウェイキープ

スコアメイクため、まずは、フェアウェイキープが非常に高いウェイトを占めます。
ラフは長いところでは、100mmを超えます。
そうなると、長い上に短い番手で出すのも困難になるので、無理をすると、ダブルボギーも出てしまうセッティングです。

もちろん、飛んでフェアウェイキープできれば、それに越したことはありません。
では、飛んだラフと飛ばないフェアウェイのどちらを選ぶか、これはフェアウェイです。
例えば、西村優菜さんは飛距離のアドバンテージはありません。
しかし、ユーティリティーやショートウッドの精度が、ショートアイアン並み。
そうなると、勝負は出来てくる訳です。

入れやすいラインを意識したコースマネジメント

烏山城カントリーのグリーンとセッティング、ピンポジション。
非常に難しいので、外すときは、トッププロが同じように外します。
つまりこれは、「読みにくい」ことの証明です。
特に上から打つ下りや横からの曲がるラインだと短くてもチャンスと言えない。
どれだけ、上りの曲がらないラインにつけることができるかがポイントになります。

優勝争いは3選手

3日目までのプレーぶりやスコア、調子を見て、優勝争いは上位3選手です。
勝みなみ、西郷真央、西村優菜。
それぞれ、黄金世代、ミレニアム世代、新世紀世代を代表する選手となりました。
3選手が揃ってずるずる後退するとは考えにくく、また、4位以下の選手がビッグスコアを叩き出すということも考えにくいです。
そのため、上位3選手の調子次第の優勝争いとなるでしょう。

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西郷さんは、相次ぐ2位ですが、選手権の2位は進歩を感じました。
プレー内容も、スコアも、優勝してもおかしくない内容でしたね。

当然、西村優菜さんも、明日へと気持ちは切り替えていますね。

最新情報ー日本女子オープンー明日へひとこと|JLPGA|日本女子プロゴルフ協会
一般社団法人日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)の公式サイトです。

西村優菜(3位:-7)
「4日間あれば、1日ぐらいはきょうのような日もあるでしょう。あすはしっかり切り替えてラウンドしたい。難しいコースだからこそ、2打差でもまだまだチャンスはある。強い気持ちでプレーしたいですし、大きなミスが出ないようにしっかりマネジメントに集中したい。(今日は)バーディーチャンスが難しいラインばかり。パッティングに苦労した一日でした」

このコメントに、彼女のクレバーさが見て取れます。

カギとなる展開とホール

風向きとピンポジ次第ではありますが、出来るだけアウトコースは伸ばしたい。
少なくとも、後半よりは難易度が低いので、ここで落としてしまうと苦しいです。
そして、何よりも難関が、17番、18番と控えています。

17番は通常営業のではパー5の設定そのままなので、ボギーでもパーと考えても妥当です。
また、18番も400ヤード、打ち上げ、アゲインストとなると、パーオンも困難です。
最終日のピンポジ予想は、左手前の池近くです。
ティーイングエリアを1つ前に出すことも予想されます。
それでも、両ホールとも難関であることは間違いありません。

16番を終わって、2打差はあって無いようなもの、3打差でも全く安心はできません。

ご参考 17番と18番の特徴と攻め方が解説された動画です。

大会最終日は最も難しいセッティング

大会最終日は、最もタフなピンポジションとなり、最終日のアンダーパーは、わずか5選手。
その展開の中、優勝争いは、上位3選手と事前に予想しましたが、前半戦で勝みなみ、西郷真央、両選手の争いとなりました。
いよいよ、勝負のバックナイン。ここで圧巻のプレーが展開されます。

勝みなみ、圧巻のプレーで独走優勝

優勝のキーポイントとして、フェアウェイキープを挙げました。
そして、飛距離に勝る勝みなみさんが、脅威のフェアウェイキープ。
飛ぶ人が曲がらなければ、これは圧勝劇が展開されます。
9番の長いパー4など、キャリーで250ヤード、ランも含めると300ヤードドライブ。
ここをウェッジで攻めたバーディー奪取など、真骨頂でした。

後半も1人、難なくバーディーを積み重ね、終わってみれば2位に6打差の圧勝。
優勝スコアが-14で2位が-8なので、これは強かったとしか言いようがありません。

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2位は健闘の西郷真央と上田桃子

2位タイには、序盤、勝さんにくらいついていった西郷真央さん。
最後まで攻める姿勢でプレーをした上田桃子さんが入りました。

西郷真央&上田桃子は2位で閉幕「ちょっと甘い考えがあった」
◇国内女子メジャー◇日本女子オープンゴルフ選手権競技 最終日(4日)◇烏山城CC(栃木県)◇6550yd(パー71) 首位と1打差、8アンダー2位から出た西郷真央は今季5度目となる2位で10代最後の試合を終えた。「コースも違えば、環境も違う。(2位となった)回数が何回あっても勝てないと意味がない」と悔しさを募らせた。 ...

両選手のスコア、-8も立派で、優勝してもおかしくは無いプレーだったと思います。

その他の注目選手の結果

さすがに渋野日向子さん、今回の爆発はありませんでした。
優勝争いができるまでには、もう少し時間がかかりそうです。

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西村優菜さんは、序盤で落としたのが響きました。
と言うか、9番を終えた時点では涙ぐんでいたように見えます。
しかし、最後までプレーの集中力を保ち、4位です。
悔しいでしょうけど、2週連続優勝後ですから、頑張ったと思います。
少なくとも2日目の-8は衝撃を与えてくれました。

歴史に名前が残る、ローアマを獲得したのは、竹田麗央(たけだりお)さん。
知る人ぞ知るですが、お母さんは、プロゴルファーの平瀬哲子さんで、キャディを務めました。
お母さんの妹、つまり叔母さんが、平瀬真由美さんですね。
現在、熊本国府高校3年生で、プロテストは1次を合格しています。
今回のローアマ獲得により、2次は免除となり、11月の最終プロテストに挑みます。

大型新人到来か 母と叔母が女子プロゴルファーの竹田麗央がローアマ獲得
◇国内女子メジャー◇日本女子オープンゴルフ選手権競技 最終日(4日)◇烏山城CC(栃木県)◇6550yd(パー71) 身長166cmの竹田麗央(たけだ・りお/熊本国府高3年)が国内最高峰のナショナルオープンでローアマチュアを獲得した。29人のアマチュアが出場した今大会。2アンダーから出た最終日に3バーディ、2ボギー1ダ...

勝ちゃん、おめでとうございます。
文句なしの優勝でした。全体の結果はこちらから。

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