女子ゴルフツアーでは、シーズン途中に出場権、出場優先順位の見直しが行われます。日本ではリランキング、アメリカではリシャッフルとなりますが、その違いについての解説です。
リシャッフルとリランキングの目的
日米の女子ゴルフツアーにおいて行われている、シーズン途中での出場優先順位の見直しは、シード選手を除き、一定時点で成績を上げている選手の出場優先順位を上げていくものです。
これは、いわゆる「旬の選手」に出場機会を多くするという意味では、ツアーを活性化しています。
日米とも目的は同様なのですが、その名称と実施方法に違いがあります。
日米女子ゴルフツアーのシード選手
いわゆる単年シード選手ですが、日米で人数が異なります。
これは、日照時間を含めた、試合毎の出場選手数が異なることも1つの要因です。
日本の場合は、108名や120名といった出場選手数が主ですが、アメリカの場合は、大会毎に異なりますが、平均的にはそれより多い。
そのため、シード選手の数自体に違いがあるということになり、日本の場合は50名、アメリカの場合は80名となります。
リシャッフルとリランキング同じ点は?
リシャッフルとリランキングの目的が同様であることに加え、年間2回行われることが同じ、そして両ツアーとも各試合毎に設定されるポイントのランキングとなっている点は同じと言えます。逆に言えば、それ以外の部分で異なるとも言えます。
JLPGAツアーのリランキング
JLPGAツアーの場合、第1回目のリランキングが6月で、第2回目のリランキングが9月です。
第1回のリランキングまでには、ほぼ前年QTの上位30選手ほどが16試合への出場が確約されます。
そして、リランキング対象選手は、シード権を持たない選手となっていて、JLPGAが独自に設定しているリランキングリストにより参照できます。
USLPGAツアーのリシャッフル
一方でUSLPGAツアーのリシャッフルですが、時期が5月と7月の2回です。
そして、2023シーズンで言えば、序盤は限られた選手のみの出場となる試合が3試合あったり、団体戦があったりするため、第1回のリシャッフルまでが実質的には6試合のスプリントレースとなります。
リシャッフルのみが独立したページは、HPにはありません。※リーダーボードで確認は可能。
USLPGAツアーへの参戦資格
さて、そもそもUSLPGAツアーに参戦するためには、大きく分けて3つの道があります。
USLPGAツアーに参戦し年間獲得ポイント40位以内
最終予選会を通過
それぞれについて、簡単に説明します。
1つは、ツアーメンバーになる前に、メジャーを含めたUSLPGAツアーの試合で優勝することです。
そうなると、翌年からは、ツアー優勝者と言う優遇されたカテゴリーでの参戦が可能となります。
※日本で言えば、TOTOジャパンクラシック。
2つ目は、ノンメンバーでポイント獲得が40位に入ることがありますが、これはそもそもノンメンバーであるため、限られた出場試合(メジャー大会)などで上位に入ることを想定しています。
最後の1つが、予選会(Qスクール)を勝ち抜き、最終予選会(Qシリーズ)を勝ち抜いていく道です。
最終予選会で45位以内に入ればツアーメンバーとなれるのですが、日本の場合と違い、このカテゴリーでの出場優先順位は決して高くありません。
例えば、2023シーズンのツアーメンバー、そして出場権をかけた最終予選会には、勝みなみ、西村優菜の両選手が進出しました。
結果は両選手ともツアーメンバーには成れたのですが、順位は勝みなみさんが5位、西村優菜さんが24位でした。
最終予選会からの出場優先順位は高くない
これが日本ツアーであれば、間違いなく序盤戦は出場権が確保される順位ですが、アメリカの場合、優先順位は決して高くありません。
勝みなみさんの場合、最終予選会5位はカテゴリー14で全選手で139番目、西村優菜さんの場合、最終予選会24位は、全体で160番目となります。
これは、勝みなみさんであれば、3月に行われるフルフィールドの試合からは出場が可能となる順位で、西村優菜さんは上位選手の欠場次第という出場権でした。
なぜ、アメリカの場合、最終予選会からの順位が低くなるかと言えば、それより上位に以下の資格があり優先されるからです。
カテゴリー10:前年度LPGAツアーノンメンバーが獲得したポイントが40位
カテゴリー11:前年のポイントレース81~100位
カテゴリー12:生涯獲得賞金上位40位
カテゴリー10と12に関して、2023シーズンは該当選手はいません。
一方で、カテゴリー9には、10選手、そしてカテゴリー11には23選手がいます。
この関係で、最終予選会からの進出選手の出場優先順位が低くなる訳です。
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USLPGAツアーの第1回リシャッフルはスプリントレース
さて、最終予選会から出場する場合、このスプリントレースを勝ち抜いていかなければなりません。
そして、日本と違う点がもう1つ。
日本のリランキングはシード選手を除いた上位選手がリランキングをクリアし出場権を得ます(上位40名ほど)が、アメリカのリシャッフルでは、シード選手を含めた上位80名の中に入らなければなりません。
これは見ての通りですが、例えば80人のシード選手が序盤でそのまま実力を発揮し、リシャッフル時に80名だったとすると、新規クリア人数は数字上はゼロということになります。
現実的には新規ツアーメンバーも頑張ってリシャッフルをクリアするのですが、それだけハードルが高く、実質序盤の6試合のみで、シード選手並みの成績を出しなさいと課題を与えられているという意味合いになります。
実際、例えばカテゴリー9、下部エプソンツアー上位10位の資格で参戦した10選手ですが、リシャッフルをクリアできたのは3選手に留まりました。
USLPGAツアーとJLPGAツアーの違い
こういった状況も踏まえると、USLPGAツアーはタレント(才能)を持ったスターを招集するツアーであるとも言えます。
もちろん、高額の賞金や名誉といった意味から、世界のトップツアーであることは間違いないのですが、JLPGAツアーよりもその参入と出場機会は実質的に厳しいと言えます。
そもそも最終予選会さえ、本来はファーストステージ、セカンドステージと勝ち抜いていくことが必要です。加えて、最終予選会からは、世界ランキング75位以内であったり、その年シード権を獲れなかった81位から100位の選手が出場します。この最終予選会から参加できる実力の選手は、そもそもある程度の実力がある選手なのです。
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一方で、JLPGAツアーでは昨今、プロテストが狭き門であることが注目されています。
確かに合格率3%という数字だけをとらえると厳しいという見方になりますが、受験資格はHDCP4のものとなっており、USLPGAツアー予選会のファーストステージと大きくは変わりません。
しかし、USLPGAツアーで3段階の予選会を通過していく、そして極めて限られた試合数の中で、序盤から成績を出していかなければ出場する試合さえ無いことは非常に高いハードルです。これが分かっていることから、そもそも受験する選手数が一定程度に限られる現状があります。
これらを総合的に判断すると、JLPGAツアーの方が、簡単ではないものの新人選手への門戸が開かれている、発掘のツアーだと言えるかもしれません。
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