2020 アース・モンダミンカップ

世界中に混乱を招いた、新型コロナウイルス。
その影響は、私たちの日常生活にも及びました。
スポーツも例外ではなく、女子ゴルフも中止や延期を余儀なくされました。
そんな中、ようやく2020シーズンが開幕することになりました。
本来ならば、ツアー前半戦最大のビッグトーナメント、アース・モンダミンカップです。

大会概要

大会名称:アース・モンダミンカップ
開催コース:カメリアヒルズカントリークラブ 千葉県袖ケ浦市大竹265
(6,622 Yards/Par 72) コース詳細はこちら
開催期間:6月25日~6月28日
賞金総額:24,000万円
優勝賞金:4,320万円
出場人数:144人(予定)
決勝進出順位:2R終了時 70位タイまで (予定)
主催:アース製薬株式会社
公認:一般社団法人日本女子プロゴルフ協会
後援:木更津市、袖ケ浦市、公益財団法人日本ゴルフ協会
企画協力:テレ・プランニング・インターナショナル株式会社
競技運営:株式会社ダンロップスポーツエンタープライズ
大会HPはこちら

事前情報

今回は、新型コロナウイルス感染拡大後、初めての国内女子ツアーです。
そのため、かつてない事前準備が必要となりました。
1つめが、選手及び関係者全員に対して、PCR検査を行うこと。

2つめが、策定した感染防止ガイドラインに沿って運営することです。

放送予定と見どころ

本来であれば、ここでテレビの放送予定を書きます。
しかし、今回は違います。テレビの放送は無しです。
一方で、ふんだんな量、40時間を超えるインターネット中継がライブ配信されます。
こういった形式も史上初だと思います。
ここが見どころの1つとなります。

また、この大会の出場選手は144名と最大数です。
出場予定選手はこちら。出場枠も多く、開幕からオールスターという感想を持ちます。
一方で、コロナウイルスの影響で、有力韓国人選手の一部は出場できません。
・・・李知姫さんは、日本国内で滞在、準備をしていたので出場します。
一方で、本来であれば、米ツアーを主戦場とする、畑岡奈紗、河本結といった選手が参戦します。
何しろ状況が状況だけに、どの選手がどのような調子かさえ全くわからない。
これは、出場する選手自身も感じていることだと思います。

主催者推薦選考会

最後の出場枠をかけて、主催者推薦選考会が行われました。
いわゆる、「マンデートーナメント」です。
そこで出場権を手にしたのは、
歴代優勝者というか、初代チャンピオンの服部真夕さんも入りました。
ベテランから新人まで、本戦での活躍も期待できる選手たちです。

そして開幕前日

ペアリングも発表されました。
驚き、また、嬉しかったのが、ミレニアム世代のエース、安田祐香さん。
何と、アウトスタートの1番に持ってきました。
同伴競技者の1人が、仲良しかつライバルである、吉田優利さん。
ツアーや主催者、そしてファンも胸躍らせるスタートです。
ペアリングを見渡すと、スター選手3人といった組み合わせがありません。
均等に分かれたという感を受けます。
これは、全編インターネット中継でもあり、できるだけ多くの選手をファンに知ってもらいたいという意志を感じました。

そして選手、関係者全員を対象に行われたPCR検査。
幸いなことに144名全員が陰性であり、大会はいよいよ開幕となりました。

悪天候に見舞われた初日

144名出場の大会なので、まず最大の目標は、全員がホールアウトすること。
第1組のスタートが7:00、最終組のスタートが13:20です。
そんな中、雨による悪天候のため、スタートは1時間遅れの8時になりました。
一旦雨は収まったものの、強くなったため、10時6分に中断。
10時40分に再開となりましたが、計1時間30分のロスは非常に痛い。
この時点でサシペンディッドが濃厚と思いましたが、何とか全員がホールアウト。
これが、1番のハイライトかもしれません。

これにともない、当初は18時終了予定だったインターネット中継も延長。
小西綾子さんはじめ、中継陣の頑張りには、本当に頭が下がりました。

初日の結果と感想

そんな悪天候によるスタートディレイと中断で影響はあったと思います。
つまり、10時前後にオンプレーだった選手は、非常にキツかった。
グリーンに水が浮くような状態だったので、中断したわけです。
ですから、後半スタート組に比べると、2打、3打のハンデがあったと思います。

あの雨はキツかった。

その影響を受けたと思うのが、第1組。
つまり、ミレニアム世代の安田祐香さんと吉田優利さんです。
本来であれば、もっと良い状況でプレーさせてあげたかったのですが、自然には勝てない。
また、それがゴルフというスポーツなので、やむを得ないところです。

まず、リーディングがこうなりました。

何よりも雨でスタートが遅れたので、全選手ホールアウトできたのが良かった。
事実、インターネット中継のカメラではそれなりに明るく見えたのですが、実際には相当暗かったです。
選手は球の落下位置やグリーンの傾斜は見えなかったと思います。
それでも、サスペンディッドよりは良い。
頑張った選手の皆さんには拍手です。

さて、気になるのが、渋野日向子さんの出遅れです。
初日が2オーバー。
実はこのスコアには、2打罰がついています。

それは、中断前、雨が激しくなったときのこと。
グリーンに水が浮いたので、ローラーをかけるわけです。
そのため、しぶこさんはマークをずらした。

ローラーをかけ終わったあと、うっかりマークを戻すことを忘れた。
誤所からのプレーで2打罰です。
集中力が切れそうな場面でしたけど、残念でしたね。

2日目の結果と感想

この日は前日とうって変わって絶好のゴルフ日和。
そのためスコアを伸ばしたいところ。
そんな中飛び出していったのが、田中瑞希さんです。

田中瑞希さんは、3度目のプロテストに合格した黄金世代。
高校時代は熊本国府高校。
大里桃子さんとは同級生で全国制覇を果たしています。

私は少し前から田中瑞希さんには注目していて、こちらのサイトでも書きました。
あわせて読んでいただくと幸いです。

2020年のBSGで放送 田中瑞希と西村優菜
スカイAでの人気番組、田中秀道のビッグステップゴルフ。2019年に登場した、ルーキー渋野日向子さんは、文字通り大きな飛躍を遂げました。そして、2020年の番組には、期待のルーキーたちが出演。その中から今回は、田中瑞希さんと、西村優菜さんを取り上げます。

また、2日目の大きな出来事は、渋野日向子さんの予選落ち。
このオフでスイングの改造に踏み切ったのですが、その影響もあったか。
パッティングフォームは、素人目からしても、大きく変わりました。
とても残念なことです。

3日目の結果と感想

さぁ、決勝ラウンドに入りました。ムービングサタデーでスコアが動く日。
注目の1つが前日首位に立った田中瑞希さん。
ツアールーキーとは言え、2019年は単年登録者としてツアーの実績があります。
特に、日本女子オープンや日本女子プロゴルフ選手権では良かったのです。

そして結果はこうなりました。上位陣。

田中瑞希さんがスコアを伸ばして、首位キープ。
2位とは3打差をつけて、最終日を迎えることになりました。

また、GDOの記事にある通り、安田祐香、吉田優利といったミレニアム世代も伸ばしてきた。
そして、驚くことが最終日最終組が非常に若いペアリングとなったのです。
平均年齢で20歳を切る。これは、予想だにしませんでした。

同組には高校生でプロテスト合格、18歳の西郷真央さん。
そして、2019年史上7人目のアマチュア優勝を果たした古江彩佳さんです。
古江彩佳さんは、ミレニアム世代である20歳のプレイヤー。
しかし、安定したプレーぶりと優勝経験があることで、アドバンテージはあるかと思いました。

しかし、4打差圏内には、実力者ぞろい。
鈴木愛さんなど、難関9番パー3では、2日連続で池ぽちゃ。
5打を失いながらもこの位置です。
優勝候補の一角から外すことはできません。

悪天候の4日目は順延に

4日間大会の最終日と言えば、当然4日目。
しかし、この日は、おそるべき豪雨。
とてもプレーができるコースコンディションではありませんでした。
前日には予報もあったので、スタート時間が10時に設定されていました。

しかし、当日は予報よりも雨風とも強くプレー続行は不可能。
そこで主催者とJLPGAは、月曜日を予備日として使うことを決定しました。

JLPGAの競技では初、JGA主催の日本女子オープン以来。
23年ぶりの決断でした。

これは、何としても72ホール競技を成立させたいという強い想いを感じました。
また、コロナウイルス感染防止からクラブハウス待機での「密」を避けたいこと。
そして、今回はテレビ中継がなかったため、その調整が不要であったことも大きかったのです。

いずれにしても、「決戦は月曜日」となりました。

そして決戦を制したのは?

さて、月曜日決戦となった最終日。
お天気は絶好。優勝を狙える選手たちが一気にチャージをしかけました。

一方で、若い最終組は重い展開。
1番こそ、田中瑞希、西郷真央の2選手がバーディー発進したものの、一進一退。
スコアを伸ばせず、混戦のまま、後半のホールに挑みます。

一時期、西郷真央さんも首位に並ぶという展開。
田中瑞希さんも粘ったのですが、頭1つ抜け出したのは、鈴木愛さんと渡邉彩香さんでした。

鈴木愛さんは、全く好調には見えなかったのですが、ここまでスコアを作ってくる。
上手い、強いとしか言いようがないです。

最後、田中瑞希、西郷真央両選手ともワンチャンスは残りましたが届かず。
そして、優勝は、鈴木愛、渡邉彩香両選手のプレーオフへ。
そしてプレーオフ1ホール目の18番。
鈴木愛さんのバーディーパットは惜しくもカップを過ぎる。
対して、渡邉彩香さんは、奥からの下りスライスライン。
見事に決め切って、5年ぶりの優勝となりました。

 

最終結果はこちら。上位陣です。

健闘した選手たち

田中瑞希さんをはじめ、フレッシュな選手が大会を盛り上げたことは間違いありません。

田中さん以外でも、ルーキーの活躍が目を引きました。
主だった選手の活躍のについては、別途書いていきます。

まとめとインターネット中継の未来

スポーツは筋書きのないドラマと言われます。
まさに今大会は、それが凝縮された大会と言って良いかと思います。

コロナ禍という特別な環境の中行われたこと。
そのため、6月下旬が開幕戦となってしまったこと。
悪天候による、予備日を使った月曜日決戦。
ツアールーキーの目覚ましい活躍。
渡邉彩香さんの復活優勝などなど。

それに加え、今回はこれを評価したいと思います。
それは、テレビ放送が無かったこと。
代わりに、最初から最後まですべてインターネットの無料配信がありました。
延べ600万人以上が視聴しました。

世の中では、「新しい生活様式」が定着してきています。
これからは、「新しい中継様式」が求められる、そして可能性は大きいと言えます。

スポーツ中継はライブであってこそ、その真髄に迫ることができます。

実況を務めた小西綾子さんはじめ、11名の解説プロの皆さん、お疲れさまでした。
そして何よりも、英断をしたアース製薬、大塚会長に感謝です。

優勝者のクラブセッティング

渡邉彩香さん、最新のクラブセッティングです。こちら
何と言っても、ドライバーが珍しい。

最新モデルではなく、J015 ドライバー(9.5度)2015年発売モデルです。
シャフトはグラファイトデザイン Tour AD PT-6(44.75インチ、X)
標準モデルは45インチを超えています。こちら

渡邉彩香さんは短くカットしています。

渡邉彩香の良い話

人柄を物語っていると思います。

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