史上最高の賞金額にふさわしい、厳しいセッティングだった、2022年の全米女子オープン。ミンジー・リー選手が終始安定したプレーでメジャー2勝目を飾りました。決勝に進んだ、5人の日本人選手の結果とともに振り返ります。
優勝は独走でミンジー・リー
2位以下に差をつけての最終日。
3日目に続き、厳しいピンポジションと風で、全体のスコアは伸びず、各選手とも苦労しました。
その中で、ミンジーのショットは飛距離、方向性とも問題無し。
ショートゲームも安定していて、終わってみれば、2位に4打差の勝利でした。
ミンジーのメジャー優勝は、昨年のエビアン選手権以来の2勝目。
ツアー通算では8勝目となります。
今季は、5月のコグニザント・ファウンダーズカップで既に勝っています。
実力、調子、運と3拍子が揃っての勝利だと思います。
そして何より、この大会は女子ゴルフ史上最高の賞金額です。
ミンジーは、優勝賞金、180万ドル(約2億3500万円)を手にしました。
2022全米女子オープン日本人選手の結果
今回は5人の日本人選手が決勝ラウンドに進みました。
上位入賞とはならなかったものの、タフなコースとコンディションの中、健闘をしたと思います。
20位タイ 小祝さくら
日本勢最高順位でした。
先週末にリゾートトラストレディスで優勝してからの直行なので、強行軍です。
何しろ、体もメンタルもタフであることの証明をしたかと思います。
さくちゃん独特、「小祝ワールド」のインタビュー。
4日間を戦い抜いた今回は「またリベンジというか、チャレンジしていけたらと思います」と話す。その上で「マネジメントと、あとはパターですね。うまい選手は微妙なバーディパットだったり、パーパットだったり、流れを作るパットを決めてくる」。課題もしっかりと持ち帰った。
「毎日お肉を食べてて、こっちに来て、なんか顔がデカくなった気がして…塩分の取りすぎかな、とか思いながら」。
なんだかんだ言いながら、決勝ラウンドも耐えるところは耐えてきました。
それでこれまた凄いと思うのは、帰国後してすぐに、サントリーレディスに出場予定です。
28位タイ 畑岡奈紗
メジャーに並々ならぬ闘志を持つ畑岡奈紗さん。
この結果に当然、満足は無く、悔しいのひと言ですね。
バーディーは獲れていました。
しかし、パーセーブしたいところで、ボギーやダブルボギーが出た。
反省の言葉ばかりが並ぶのは性格でしょうけど、次週から切り替えて、連戦で全米女子プロに臨みます。
44位タイ 西郷真央
今季絶好調で乗り込みましたが、西郷さん自身、初のメジャーです。
初日はアンダーパーでしたが、日を追うごとに厳しい成績となりました。
体調面が万全ではなかったという面もあるかと思います。
もちろん、メジャーで戦うためには、準備や技術は必要です。
ショットの精度やアプローチのバリエーションも高めたい。
それでも20歳の挑戦は、帰国せずに、そのまま今月の全米女子プロへ続きます。
49位タイ 馬場咲希(アマチュア)
この大会で最も収穫、充実感があったのは、馬場さんだと思います。
「まだまだプレーしたい」というのは、正直な感想だと思います。
帰国後は、14日に始まる日本女子アマに出場します。
69位 髙木優奈
日本予選会を突破しての本戦出場。
2日目のアンダーパーは、非常に良いプレーだったと思います。
決勝ラウンドに入ってからのコースを、「豹変した」と表現した、髙木優奈さん。
アプローチ、パター、ショットと全て足りませんでした。予選ラウンドは自分の持っているものだけで上手くいけば通過できるのは証明できました。
ただ、メジャーの決勝ラウンドのセッティングは私の技術だけでは足りないと感じました。一緒に回った選手はトリプルボギーのパットでも「グッドパット」と声をかけてくれたり、たくさん打っているのに「今日はすごく難しいから」と言ってくれました。こっちの選手でも難しいと思うくらいのセッティングなんだと思いました。
髙木優奈さん、今年の最大の目標はプロテスト合格です。
ツアープロとして、実績を積み、再度この舞台に戻ってくることを期待します。
2022全米女子オープン日本勢の総括と感想
昨年の笹生優花、畑岡奈紗の両選手による優勝争いの印象は強烈でした。
それだけに、今回は結果だけ見ると、物足りないと感じるかもしれません。
しかし、全米女子オープン史上最多の4度目開催となる、パインニードルズ・ロッジ&GCは本当に難しかった。
日本人選手だけにフォーカスしがちですが、世界のビッグネームでさえ、予選落ちしたり、決勝ラウンドで後退しています。
上位陣です。
少し光明が見えたのは、2位に入ったミナ・ハリガエさんのプレーです。
飛距離は下から数えられる最も飛ばない部類で、ミンジーとは、ときに40ヤードの差が出る。
それでも丁寧にマネジメントし、スコアを作っていきました。
それと、番手毎のキャリー、スピン量にバラツキが少なかった。
加えて、非常に硬いフェアウエイでも対応ができたことが上位進出の理由かと思います。
世界で戦うためには、サイドスピンを減らし、いかにグリーンの狙った位置に付けるか。
スイングプレーンや入射角などから球筋を作る必要性を感じた大会でもありました。
もちろんショートゲームはいつでも大切ですが、こればかりは慣れが必要だと思います。
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